大人になっていくということが、輝きを失っていくということだとは思わない。


だけど、いつかこの瞬間を思い出すときがくるのだと思うと、無性にすべてが愛しく感じられてどうしようもなくなるのだ。


過ぎ去っていく時間に人が哀惜の想いを抱くように、私は去ろうとしているこの場所、人々のことを思うとたまらなく淋しい。


すべてを体と心に刻みつけたいのに、今この瞬間のすみずみの美しさにとても追いつかない。