人魚の眠る家を読んだ。
考えさせられる内容だった。
それにしても東野圭吾は色んなジャンルで面白いなと。
著者の作品でよくある、人が死んだり、刑事が出て来たりはほとんどない。
生人の誕生日会の薫子の狂気は凄まじいものがある。
途中、読むのが怖かった。
また、巻き込まれる形になった生人が可哀想でもある。
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臓器移植や脳死。また移植には高額な医療費が掛かるなどがテーマ。
知ってはいたが、ここまで専門的に書かれている内容を読んだことはなかった。
募金などもかなり詳細に取材したんだろうなというのが分かる。
もちろん、日本トップの作家なんでアシスタントなどが調べに行くこともあるのだろうけど。
それでもここまで医療など様々なことが詳細に描かれているのは驚いた。
臓器移植や脳死に関して、様々なジレンマや葛藤があるというのも考える機会になった。
また、薫子の我が子に対する狂気じみた愛。それに翻弄される家族や親戚。
薫子の気持ちは分かるし、意地になっているのも分かる気がする。
また周りの人が内心良く思わない気持ちも分かる。
そして見事な伏線回収。あれ、そういえば冒頭の男の子はどうなるのだろうか?と最後の方で改めて冒頭を読んで思った。
もしかして、将来医者かなにかになり、実はあの屋敷に住んでいた娘が脳死状態だったとかを知るのだろうか、とかぼんやりと考えていた。
ただ、こういう感じか、、と。ここは小説っぽい感じだが、臓器移植では前の人の記憶が残っているなどは聞いた事が何度かある。
他は、大人から子供までそれぞれの視点が巧みに描かれているのもさすがの一言。
若葉の視点もそうだし、生人がいじめられるかもしれないと考える描写も子供社会のことが分かっているなと。
もちろん、これはその子によるとは思う。空気が読める生徒が多いといじめとかはないかなと。
そして最後の方は終始泣きっぱなしだった。
著者は『容疑者Xの献身』『白夜行』『幻夜』『ナミヤ雑貨店の奇跡』『マスカレード・ホテル』など多数の名作がある。
が、それらと同等かそれを超える作品ではないかと思った。まさか、これら以上の作品があるのかと。
最後に、小説でも漫画でも思い出の場所が更地になっている描写はあるあるだと思う。
ただ、広尾で土地が余ってたら、どこかの不動産会社が直ぐ買うと思う。
瑞穂が亡くなって遅くとも2~3ヶ月以内には家を出て売りに出したと思う。
本人たちの意向で家も壊したのではないかなと。
そこから3年何か月か経過している。それだととっくに買われて別の家かマンションが建てられるだろう。
細かいが、一応意見として載せておく。
一つだけケチを付けるようで申し訳ないが。
フィクションなので、考えても仕方がないが、薫子や他の人物達が幸せに暮らせていたらなと思う。