愛の力は不思議な物さ by ヒューイルイス&ザニュース
僕が師匠と釣りにしょっちゅう行くようになって1年位がたった。
初心者だった僕も、いっぱしの口を聞くようになり、道具もボチボチ揃ってきたころだ。
それと共に師匠は僕に彼なりのこだわりを述べるようになった…
初心者の頃にそれをしなかったのは、押しつけになると思ったからだと思う。
道具を試行錯誤しながら学ぶのもバス釣りの楽しみの一つだし、
それを僕から奪うのはダメだと思ったんだろう。
自分と同じフィールドに来た僕を歓迎してくれる意味もあったんじゃないかな。
彼のこだわりは極端で、独りよがりで、可笑しくて、とてもとても素敵だった・・・
初心者だった僕も、いっぱしの口を聞くようになり、道具もボチボチ揃ってきたころだ。
それと共に師匠は僕に彼なりのこだわりを述べるようになった…
初心者の頃にそれをしなかったのは、押しつけになると思ったからだと思う。
道具を試行錯誤しながら学ぶのもバス釣りの楽しみの一つだし、
それを僕から奪うのはダメだと思ったんだろう。
自分と同じフィールドに来た僕を歓迎してくれる意味もあったんじゃないかな。
彼のこだわりは極端で、独りよがりで、可笑しくて、とてもとても素敵だった・・・
「ペンシルは水平浮や!斜め浮はオモロナイなぁ~」
「ビッグラッシュやったら絶対にスケーターやな」
「ワームはアカン、ほんまアカン、オモロナイで… 誰でも絶対釣れるんやで…」
その他たくさんのルールやこだわりがあった。僕は忠実にそれを守って実行した。
別に強制されたんじゃない、そうすることがとても楽しかったからだ・・・
当時の僕たちは日本一ストイックな”とっぷうぉーたーぷらっがー”だったかもしれない。
「ビッグラッシュやったら絶対にスケーターやな」
「ワームはアカン、ほんまアカン、オモロナイで… 誰でも絶対釣れるんやで…」
その他たくさんのルールやこだわりがあった。僕は忠実にそれを守って実行した。
別に強制されたんじゃない、そうすることがとても楽しかったからだ・・・
当時の僕たちは日本一ストイックな”とっぷうぉーたーぷらっがー”だったかもしれない。
その師匠のこだわりの中で僕がひときわ印象に残った言葉がある…
「ワイな、バス釣りだけは真面目にしたいねん・・・」
「そやからな、女の子らと釣り行くんは絶対に嫌やねん」
「ワイな、バス釣りだけは真面目にしたいねん・・・」
「そやからな、女の子らと釣り行くんは絶対に嫌やねん」
当時はバスブームでバス釣りの認知度が非常に高かった。
もとは人気の芸能人がきっかけのブームだったんで女の子の受けも悪くなかった。
だから合コンかなんかでも、趣味がバス釣りで良く行くよと言うと
「やってみたい」とかいう娘も必ず何人かいて じゃあ…って感じで
「バーベキュー&バス釣り」などという企画を親友のMがよくやった。
足場のいい青野ダムの湖畔でバーベキューをし、女の子達に教えながらルアーを投げさせたりした。
ワームやスピンニングなどというしゃらくさい物は持っていないから、
当然ながらベイト+クランクなどのハードな釣りだ。それでも案外と釣れたりして、
またベイトリールでも上手く投げる娘もいて結構盛り上がった記憶がある。
当然師匠も手持ちの道具を例のシーマにたくさん積み込んで参加してくれた・・・
そして皆に付き合ってニコニコ笑っていても・・・
本当は師匠はあまり楽しんでいなかったのを僕は知った。
もとは人気の芸能人がきっかけのブームだったんで女の子の受けも悪くなかった。
だから合コンかなんかでも、趣味がバス釣りで良く行くよと言うと
「やってみたい」とかいう娘も必ず何人かいて じゃあ…って感じで
「バーベキュー&バス釣り」などという企画を親友のMがよくやった。
足場のいい青野ダムの湖畔でバーベキューをし、女の子達に教えながらルアーを投げさせたりした。
ワームやスピンニングなどというしゃらくさい物は持っていないから、
当然ながらベイト+クランクなどのハードな釣りだ。それでも案外と釣れたりして、
またベイトリールでも上手く投げる娘もいて結構盛り上がった記憶がある。
当然師匠も手持ちの道具を例のシーマにたくさん積み込んで参加してくれた・・・
そして皆に付き合ってニコニコ笑っていても・・・
本当は師匠はあまり楽しんでいなかったのを僕は知った。
そんな師匠に彼女ができた… いったいどうなるんだ!?
親友のMが作った野球チームのメンバーの一人が結婚した。
同級生が中心になって作ったチームだったから、当然みんな顔見知りだった。
結婚式の2次会に呼ばれて参加した。詳細はまったく覚えていない…
盛り上がったんじゃないかな。
野球メンバーの結婚した女の子は人気者でどうも色んなグループの要のような子だったらしい。
早速、Mが合コンを組んだ。その子が引っ張って全グループが参加した。
とても盛り上がったその会は当時もうマンションを買って住んでいた師匠の部屋に
なだれ込んで徹夜で大騒ぎする位続いた。
初対面だった女の子同士も、僕達も直ぐに仲良くなった。
年も同じくらいだったのもあるし時期が時期なんで異常な位に
密度の濃い付き合いとなった。とても楽しくて仕方なかった。
結局、最終的にはこのグループから4、5組が結婚することとなる。
何もなかったのは僕ともう一人の女の子位の物だろうと思う。
そこで師匠はTちゃんと出会ったんだ。
同級生が中心になって作ったチームだったから、当然みんな顔見知りだった。
結婚式の2次会に呼ばれて参加した。詳細はまったく覚えていない…
盛り上がったんじゃないかな。
野球メンバーの結婚した女の子は人気者でどうも色んなグループの要のような子だったらしい。
早速、Mが合コンを組んだ。その子が引っ張って全グループが参加した。
とても盛り上がったその会は当時もうマンションを買って住んでいた師匠の部屋に
なだれ込んで徹夜で大騒ぎする位続いた。
初対面だった女の子同士も、僕達も直ぐに仲良くなった。
年も同じくらいだったのもあるし時期が時期なんで異常な位に
密度の濃い付き合いとなった。とても楽しくて仕方なかった。
結局、最終的にはこのグループから4、5組が結婚することとなる。
何もなかったのは僕ともう一人の女の子位の物だろうと思う。
そこで師匠はTちゃんと出会ったんだ。
Tちゃんはちょっとだけ控えめで、今思うと師匠にぴったりだった。
自然とくっついた二人をどうなることかと皆は見守った。僕もそんな一人だ…
自然とくっついた二人をどうなることかと皆は見守った。僕もそんな一人だ…
しばらくご無沙汰だったと思ったら、師匠から釣りの誘いが来た。
グループのネットワークでさかんにデートでドライブなんかをしているのを聞いてたんで、
ちょっと意外だった。でも、Tちゃんも一緒と聞いて納得した。
でもいいのかな? 僕は気にしないが…
いつもの川に行くという…大丈夫か? しかもボートを出すという…
本当に大丈夫か?
ニコニコ笑いながら二人で迎えに来てくれた。
挨拶をし「今日はどうしたん?なんでまた…」と聞いてみた。
「釣りってどんな感じなんか知りたいって聞いたら、連れてってくれるっていうし…」
とTちゃんが言った。 師匠も照れたように笑って言った。
「スピンニングでミノーとか投げさそ思て…あっこやった釣れるやろ」
スピニング??? ミノー??? あっけにとられて僕は口をポカンとあけていた。
信念はどうした?って言いたいところだが、もちろん黙っていた。
しかし・・・スピニングだと~!?
グループのネットワークでさかんにデートでドライブなんかをしているのを聞いてたんで、
ちょっと意外だった。でも、Tちゃんも一緒と聞いて納得した。
でもいいのかな? 僕は気にしないが…
いつもの川に行くという…大丈夫か? しかもボートを出すという…
本当に大丈夫か?
ニコニコ笑いながら二人で迎えに来てくれた。
挨拶をし「今日はどうしたん?なんでまた…」と聞いてみた。
「釣りってどんな感じなんか知りたいって聞いたら、連れてってくれるっていうし…」
とTちゃんが言った。 師匠も照れたように笑って言った。
「スピンニングでミノーとか投げさそ思て…あっこやった釣れるやろ」
スピニング??? ミノー??? あっけにとられて僕は口をポカンとあけていた。
信念はどうした?って言いたいところだが、もちろん黙っていた。
しかし・・・スピニングだと~!?
ずっと以前に使っていたのを引っ張りだしたとかのスピンニングにTDミノーを付けて
Tちゃんと僕と師匠は釣りを開始した。いつもの僕が初めて釣った川だ。
いつもの先端に僕が腰かけ、Tちゃんは真ん中、師匠が操船を兼ねて一番後ろだった。
結構汚い川なんで気を使った。どう見えるんだろうと気になったのを覚えている。
最初は戸惑ったようだけど、慣れてきたのかTちゃんの顔から固さが抜けてきた。
ただ楽しそうかどうかは微妙なところだったと思う。
本人はとても楽しかったって言っていたけど…僕達二人は正直に言って釣りにならなかった。
気になって仕方なかったし、師匠はつきっきりだったし。
Tちゃんは適当に引いては投げしていた。
そのうち「あれ!? なんか変?」ってTちゃんが言い出した。 竿が曲がってる! 釣れた?!
僕と師匠はあわてて様々な指示を出した。早よ巻いてとか、頑張れとか、でも歯を喰いしばって
一生懸命ハンドルを巻いていたTちゃんは途中で何故か巻くのを止めてしまった…
どうした?って思った瞬間、バスがジャンプしばれてしまった。
結構大きかったような気がする。 「なんで?」って師匠が聞いた。
「あの…竿が折れると思ったし…凄い曲がってたから…」とTちゃん。
はぁ?? 僕も師匠もあっけにとられて顔を見合わせた。
急に師匠が大声でゲラゲラ笑いだした…
楽しそうに、絶対に折れへんとか、折ってもかまへんのに、
とか優しく言う師匠を僕は苦笑するしかなかった。
この後は何事もないまま、その日は終わった。
天気が良くて気持ちの良いきれいな夕焼けの日だった。
師匠とTちゃんの思い出でとても印象に残っている日だった。
Tちゃんと僕と師匠は釣りを開始した。いつもの僕が初めて釣った川だ。
いつもの先端に僕が腰かけ、Tちゃんは真ん中、師匠が操船を兼ねて一番後ろだった。
結構汚い川なんで気を使った。どう見えるんだろうと気になったのを覚えている。
最初は戸惑ったようだけど、慣れてきたのかTちゃんの顔から固さが抜けてきた。
ただ楽しそうかどうかは微妙なところだったと思う。
本人はとても楽しかったって言っていたけど…僕達二人は正直に言って釣りにならなかった。
気になって仕方なかったし、師匠はつきっきりだったし。
Tちゃんは適当に引いては投げしていた。
そのうち「あれ!? なんか変?」ってTちゃんが言い出した。 竿が曲がってる! 釣れた?!
僕と師匠はあわてて様々な指示を出した。早よ巻いてとか、頑張れとか、でも歯を喰いしばって
一生懸命ハンドルを巻いていたTちゃんは途中で何故か巻くのを止めてしまった…
どうした?って思った瞬間、バスがジャンプしばれてしまった。
結構大きかったような気がする。 「なんで?」って師匠が聞いた。
「あの…竿が折れると思ったし…凄い曲がってたから…」とTちゃん。
はぁ?? 僕も師匠もあっけにとられて顔を見合わせた。
急に師匠が大声でゲラゲラ笑いだした…
楽しそうに、絶対に折れへんとか、折ってもかまへんのに、
とか優しく言う師匠を僕は苦笑するしかなかった。
この後は何事もないまま、その日は終わった。
天気が良くて気持ちの良いきれいな夕焼けの日だった。
師匠とTちゃんの思い出でとても印象に残っている日だった。
一度もトラブルが起こることもなく、淡々と付き合いを深めた二人はその後結婚した。
結婚式のスピーチで誰かが「師匠の釣った最高の大物」って言っていたが、
まさにその通りだろう。 最後に師匠と話をしたのはもう随分と昔の話だ。
その時は「嫁さんがうるさくて釣りに行かれへん」だった。
あれ?釣りは行きたがってたくらい好きやったんちゃうん?って聞くと、
急にしょんぼりして ホンマは嫌やったんちゃうかな…と小声で言った。
結婚したとたんに厳しくなったそうだ・・・
へぇ~っと吹き出しそうになった。
Tちゃんの顔が浮かんだ。やるやん!とても可笑しかった。
ホントはさ、案外と師匠が釣られた口じゃないんかな?
Tちゃんはシレッとしてるけどさ。
「もうワイは買い物しか楽しみがないねん」と言う師匠も、
そう言いながらとても幸せそうだった。
結婚式のスピーチで誰かが「師匠の釣った最高の大物」って言っていたが、
まさにその通りだろう。 最後に師匠と話をしたのはもう随分と昔の話だ。
その時は「嫁さんがうるさくて釣りに行かれへん」だった。
あれ?釣りは行きたがってたくらい好きやったんちゃうん?って聞くと、
急にしょんぼりして ホンマは嫌やったんちゃうかな…と小声で言った。
結婚したとたんに厳しくなったそうだ・・・
へぇ~っと吹き出しそうになった。
Tちゃんの顔が浮かんだ。やるやん!とても可笑しかった。
ホントはさ、案外と師匠が釣られた口じゃないんかな?
Tちゃんはシレッとしてるけどさ。
「もうワイは買い物しか楽しみがないねん」と言う師匠も、
そう言いながらとても幸せそうだった。
今でも二人から子供の写真入りの年賀状が来る。元気にしているみたいだ。
毎年年賀状を見る度に、この3人で行った釣りを思い出す。
みんな若くて元気だった。
女の子が釣りに絡むとロクなことが無いと僕は今でも思っている。
毎年年賀状を見る度に、この3人で行った釣りを思い出す。
みんな若くて元気だった。
女の子が釣りに絡むとロクなことが無いと僕は今でも思っている。
でもこんな感じだったら全然いいなと思うんだ。