そんな事を初めて知ったのはシライサンと釣りに行くようになってからだ。
僕は雨の日が大嫌いだった。
身体も道具も濡れるし、見えにくくなるし、ともかくうっとうしい。
「何でや?めっちゃ釣れるやんけ?」
とシライサンは不思議そうな顔をして聞いてくる…
何でって、そら嫌でしょう?って思うんだけど、
雨が降るとシライサンは嬉々として誘いに来た。
そして二人で何度も何度も雨の日に釣りに行ったんだ。
理由は簡単だった。
シライサンはゴアテックスなる素材のカッパを持っていた。
何万円もするというおっさん自慢のカッパは雨が降ってもごく普通の服を着ているのと同じだそうだ。
シライサンはゴアテックスなる素材のカッパを持っていた。
何万円もするというおっさん自慢のカッパは雨が降ってもごく普通の服を着ているのと同じだそうだ。
そんな物と一緒にされたんでは敵わない…
僕はコンビニのカッパに毛の生えたような安物だったから、いつもビショビショになった…
もうフードにポツポツと当たる雨音が聞こえると、またずぶ濡れかとウンザリした。
このカッパもそうだけど、シライサンは良い物を長く使うってスタンスだった。
出来る限り高い物、良い物を買ってるように見えた。それを大事に大事に使っていく…
そんなスタンスが大人でかっこいいと思う! そしてその思いは今でも変わらない。
ただ、安物買いでみみっちい僕にはとうてい真似が出来ないだろうな。
ともかく当時でも年に何度あるか解らない「雨の釣り」の為に大金?は出す気はなかった…
で、いつも安物のカッパでビショビショになるんだけど。
雨と言えば僕は新成羽川ダムの釣りの準備を思い出す。
雨の日に、あの急なスロープをエンジンやバッテリーを何度も何度も往復して運んだ…
もう準備が終わる頃は僕は既にずぶ濡れになってて、すっかりやる気がない…
「さあ!行こうや!」ってシライサンは勢いよく言うけど、僕はもう元気が無く黙ったままだった。
「何でお前もゴアテックス買わへんのや? めっちゃええぞ!」
と僕の気も知らずシライサンが言う。
その時は本当にもう、うるせえよ!って心底腹が立った。。。
けれども今の僕には、とても大事な楽しい事のように思い出せる… 不思議だ…
「雨の日はな、スイッシャーや!」ってシライサンはよく言っていた。
実際に雨で波紋が広がる水面を見ていると、
確かにスイッシャーしかアピールしないような気がして
スイッシャーばっかり投げていた記憶がある。
例によって雨の日に四国の小さなリザーバーに行った時の事…
ここは中々釣れないんだけど、水も奇麗で雰囲気が良くて、二人で気に入ってよく行っていた。
その日は朝からやっていて、何も反応の無いまま昼近くになった。
いい加減ダレた気分で、いつものピカソフィーを何気なく岸沿いのオーバーハングに投げた。
たいして良い所に入らず、おざなりに動かして回収した。もちろん何事もなかった。
ふとシライサンを見ると、全く同じピカソフィーを僕と全く同じ所に投げていた…
怪訝そうな顔の僕に「お前が活性を上げて、その後でワシが釣るんや!」
とニヤニヤ笑いながら言った。
「そんな事ある訳ないやろが…」って僕が言い返した瞬間!
とてつもないバイトがあった!!
トップウォーター派がいつも夢見るような凄いバイトだった!
シライサンはのけ反って合わせ、「よっしゃ!」とつぶやきながら歯を喰いしばってリールを巻いた。
上がってきたのは、これまた人もうらやむような奇麗な40後半のバスだった!!
「どや! やっぱ雨の日は釣れるやろ!やっぱスイッシャーや!」
唖然と僕が見守る中で、高々とバスを持ち上げながらシライサンはカラカラと豪快に笑った。

あの水でふやけた手や、何故か生ぬるく感じる池の水や、
濡れた道具を思い浮かべると少しだけ憂鬱になる。
でも年をとった僕は、もう雨の日に釣りに行く事のなくなった僕は、
あの当時がたまらなく懐かしい。
昔から雨の日に釣りをする時のBGMはCCRの「雨をみたかい?」だった。
濡れた木々や、霧がかった山並みや、雨にけぶる水面をみているとこの曲が思い浮かぶんだ。
雨の日の釣りにとてもぴったりのBGMだと思う。
僕はコンビニのカッパに毛の生えたような安物だったから、いつもビショビショになった…
もうフードにポツポツと当たる雨音が聞こえると、またずぶ濡れかとウンザリした。
このカッパもそうだけど、シライサンは良い物を長く使うってスタンスだった。
出来る限り高い物、良い物を買ってるように見えた。それを大事に大事に使っていく…
そんなスタンスが大人でかっこいいと思う! そしてその思いは今でも変わらない。
ただ、安物買いでみみっちい僕にはとうてい真似が出来ないだろうな。
ともかく当時でも年に何度あるか解らない「雨の釣り」の為に大金?は出す気はなかった…
で、いつも安物のカッパでビショビショになるんだけど。
雨と言えば僕は新成羽川ダムの釣りの準備を思い出す。
雨の日に、あの急なスロープをエンジンやバッテリーを何度も何度も往復して運んだ…
もう準備が終わる頃は僕は既にずぶ濡れになってて、すっかりやる気がない…
「さあ!行こうや!」ってシライサンは勢いよく言うけど、僕はもう元気が無く黙ったままだった。
「何でお前もゴアテックス買わへんのや? めっちゃええぞ!」
と僕の気も知らずシライサンが言う。
その時は本当にもう、うるせえよ!って心底腹が立った。。。
けれども今の僕には、とても大事な楽しい事のように思い出せる… 不思議だ…
「雨の日はな、スイッシャーや!」ってシライサンはよく言っていた。
実際に雨で波紋が広がる水面を見ていると、
確かにスイッシャーしかアピールしないような気がして
スイッシャーばっかり投げていた記憶がある。
例によって雨の日に四国の小さなリザーバーに行った時の事…
ここは中々釣れないんだけど、水も奇麗で雰囲気が良くて、二人で気に入ってよく行っていた。
その日は朝からやっていて、何も反応の無いまま昼近くになった。
いい加減ダレた気分で、いつものピカソフィーを何気なく岸沿いのオーバーハングに投げた。
たいして良い所に入らず、おざなりに動かして回収した。もちろん何事もなかった。
ふとシライサンを見ると、全く同じピカソフィーを僕と全く同じ所に投げていた…
怪訝そうな顔の僕に「お前が活性を上げて、その後でワシが釣るんや!」
とニヤニヤ笑いながら言った。
「そんな事ある訳ないやろが…」って僕が言い返した瞬間!
とてつもないバイトがあった!!
トップウォーター派がいつも夢見るような凄いバイトだった!
シライサンはのけ反って合わせ、「よっしゃ!」とつぶやきながら歯を喰いしばってリールを巻いた。
上がってきたのは、これまた人もうらやむような奇麗な40後半のバスだった!!
「どや! やっぱ雨の日は釣れるやろ!やっぱスイッシャーや!」
唖然と僕が見守る中で、高々とバスを持ち上げながらシライサンはカラカラと豪快に笑った。

その当時、シライサンと最初の一匹、もしくは良いバスを釣った方に
ビールを奢るというルールを決めていた。
当時はまだ飲酒運転にそんなに厳しくなかったんで、
四国のうどん屋さんでオデンを肴にビールを飲んだ。
当然僕の奢りである。よっぽど嬉しかったのか、
シライサンは酔って何度も何度も「雨の日はな…」と繰り返した。
僕は黙って聞いていた。
心の中でどうして自分の時に出てくれなかったんだと思いながら…
あの奇麗なバスと雨の日とあのとても美味く感じたオデンは僕の濃厚な思い出である。
でも僕は雨の日に釣れた記憶はその時だけなんだ…
シライサンはとても釣れるって言ってたけど、この時だけだったと思うんだけどな。
本当はダメだったんだよ、きっと…
ビールを奢るというルールを決めていた。
当時はまだ飲酒運転にそんなに厳しくなかったんで、
四国のうどん屋さんでオデンを肴にビールを飲んだ。
当然僕の奢りである。よっぽど嬉しかったのか、
シライサンは酔って何度も何度も「雨の日はな…」と繰り返した。
僕は黙って聞いていた。
心の中でどうして自分の時に出てくれなかったんだと思いながら…
あの奇麗なバスと雨の日とあのとても美味く感じたオデンは僕の濃厚な思い出である。
でも僕は雨の日に釣れた記憶はその時だけなんだ…
シライサンはとても釣れるって言ってたけど、この時だけだったと思うんだけどな。
本当はダメだったんだよ、きっと…
今でも僕は雨の日の釣りが好きじゃない。
あの水でふやけた手や、何故か生ぬるく感じる池の水や、
濡れた道具を思い浮かべると少しだけ憂鬱になる。
でも年をとった僕は、もう雨の日に釣りに行く事のなくなった僕は、
あの当時がたまらなく懐かしい。
昔から雨の日に釣りをする時のBGMはCCRの「雨をみたかい?」だった。
濡れた木々や、霧がかった山並みや、雨にけぶる水面をみているとこの曲が思い浮かぶんだ。
雨の日の釣りにとてもぴったりのBGMだと思う。