ジントニックとオートバイ | ロンリー・オル・ナイト

ロンリー・オル・ナイト

80年代で時が止まったオサーン。タイトルは青春時代の好きな曲から…
そして今はインドネシアで怪魚釣りを夢見る男の海外奮闘記!

John mellencamp 「HUMAN WHEELS」
 
 
 
完全な僕個人の思い出のお話…
誰にでも、ある曲を聴けば思い出す情景とかシーンとかがあると思う。
僕はジョン・クーガー・メレンキャンプ(”クーガー”がついていた時代が一番いい)の曲に一番多い…
この曲もそんなうちの一つだ。まったく良い思い出ではないけど…
 
学校を卒業して就職で東京に出て来た。もう20年位前のことだ。
東京には何となく良いことがありそうな気がしたんだ。 
社会へ出ていくのに、日本で一番の都会で働いた方が良いような気もしていた。
そして僕は今でも人生における痛恨の大失敗だったと思っている…
 
その当時「東京はそんなに甘くない」っていう何かの他愛もないCMがあった。
でもそのCMを見た時の胸に刺すような痛みを僕は今も覚えている…
本当に東京は甘くなかった…
初めての東京、初めての一人暮らし、社会人デビュー、本当にきつかった。
知り合いも誰もいない。地理も解らなかったから会社のお使いにすら行けなかった。
簡単な仕事も満足にできない、ずっと下を向いてうなだれているような毎日だった。
 
そして何よりも僕が嫌だったのは長い長い夜と何もする事のない土日だった。
誰からも電話のこない夜、誰とも会う予定のない休みの日、思い出すと今でも寒気がする…
当時、東京はお台場とかで派手な若者が遊び呆けなければいけない様なイメージがあった。
その実態がよくわからない華やかなイメージに比べ、惨めな自分が情けなくておかしくなりそうだった。
 
地元の彼女とはすぐに別れた。愚痴ばかり言って会えもしない彼氏に愛想を尽かしたんだろう。
 
「生き残るために」「孤独に押しつぶされないために」オートバイを買った。
ひどいポンコツだった。嫌な感じの店に投げやりな店員だった。でもそんな事はどうでも良かったんだ。
行くあても全くないのに毎週末に無理やりに出かけた。千葉、山梨、予定も目的もないツーリング。
走っている間だけ、ほんの少しだけ、気持ちが軽くなる気がした…
 
同じ理由で毎晩大酒を飲むようになった。一人で夜中まで…、酔って朦朧とするまで…
何故か酒は「ジントニック」だけが記憶に残っている。他のも馬鹿みたいに飲んでるのに不思議だ。
ジンの独特の匂いと苦み、トニックウォーター苦み、レモンの苦み、甘いけど苦くてちょうど良かった。
今でもたまに飲む…ちょっと前までは心が痛くてまともに飲めなかったけど。
 
そしてよく一人で飲みながらBGMを聴いた。オートバイに乗ってる時も頭に思い浮かべた。
これもジョン・メレンキャンプの「ヒューマン・ホイールズ」だけが記憶に残っている。
ジョン・クーガー・メレンキャンプはずっと聴いていた。「ジャック&ダイアン」「ピンクハウス」「スモールタウン」
ストレートな歌詞やサウンドが大好きで、もうレコードが擦り切れるくらい聴いていた。
でもいつしか、クーガーが名前から消え、本名のジョン・メレンキャンプになった頃からサウンドが変わった。
明るさが無くなり、虚無感が漂うというのか、スッキリしない曲ばかりになった。
何度もアルバムを買うのを止めようと思った…でも特別な存在だったから半ば義務で買っていた。
この「ヒューマン・ホイールズ」もそんなアルバムのタイトルナンバーだ。
皮肉なことにその変わった内容が自分の気分とピッタリあった。良くもないのにピッタリはまるんだ。
今でもこの歌を聴くと当時を思い出す。ジントニックとオートバイで走りまわっていた風景。
あとは二日酔いと上手くいかない日常への怒りと焦り…の数々が浮かんでくる。
 
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でも何故か今でも東京に住んでいる。大好きな趣味も見つけた。ささやかな家庭も築いた。
時々すごく不思議な気持ちになる。でもあの時代には絶対に戻りたくないと今でも思う。。。