20代の頃、外国が大好きで15か国くらい旅をした。
その中で一番ショッキングな思い出は、詐欺集団との邂逅(かいこう)。
アジトまで行ってしまった![]()
詐欺なんて別世界の話で、自分には縁がないと思って生きていた私が。
それは15年ほど前、友達とマレーシアの首都クアラルンプールに行ったときのこと。
その日は友達と別行動で、ショッピングモールをひとりでぷらぷらしていた。
Are you Japanese?
と、現地人らしき夫婦が親しげに話しかけてきた。
Yes. と答えると、すごく嬉しそうに、彼らの甥っ子が日本に留学していると話し始めた。
日本のどこから来たのか聞かれ、関西だと答えると、甥っ子の留学先は近畿大学だという。
えー!偶然ね!!って、楽しい空気になった。
コーヒーごちそうするからカフェに行こうと誘われ、暇していたので付き合った。
いつもブラックコーヒーを飲んでいた私には、そのとき飲んだコーヒーはとても甘かった。
マレーシアでは、コーヒーと言えば、ミルクと砂糖をたっぷりいれたこれのことを言うのよと、異文化について教わったことは、唯一の良き記憶。
マレーシアのコーヒーは甘くて美味しかった。
その後の体験は、苦い思い出としてわたしの記憶に残ったのだけれど。
夫婦との話は盛り上がった。
甥っ子に電話するから話してみて!と言われるままに、日本にいる(という設定の)甥っ子と電話で話したり、彼ら夫婦がいかに日本が好きかという話を聞いたり。
わたしはすっかり心を開いていた。
今から私たちの家に来ない?と言われ、夜まで予定もなかったので行くことにした。
今思うとすごい警戒心のなさ。自分がこわい。良い子はマネしないよ
モールを出てタクシーを拾って、3人で彼らの家へ向かった。
10~20分ほど走って、閑静な住宅地の中にある一軒家に到着。
中に入ると、恰幅のいいおじさんがリビングのソファに、でん!と座っていた。
誰?と思う間もなく、おじさんはニコニコしながらぺらぺら話し始めた。
一緒に来た夫婦は… いつの間にか消えていた。
おじさんはすごく速く話すので、半分くらいしか聞き取れなかった。
詐欺集団の彼らはみな英語を話していた
聞き取れたことは、こんな感じ。
私は昔、カジノのディーラーをしていた。
今も時々お金持ち相手にブラックジャック(トランプを使ったギャンブル)をすることがある。
今夜ちょうどそのゲームがあるから、私と組んで参加して、そのお金持ちたちを騙してお金を稼がないか?
その資金として今すぐ10万円を用意してくれ。
ATMはすぐ近くにあるよ。
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わー!なんて魅力的な提案!
親切にATMの情報まで!助かる!
今すぐおろしてくるね!!
…ってなるの??
わたしはならなかった。
なにひとつ信じられないし、そもそもあなたは誰なんですか
自己紹介してたのかもしれないけど早口すぎて分からなかった
10万円??
そんな大金、初対面のあなたに渡せるかい!
と心の中では思いつつ、タクシーで来ちゃってるからそこがどこかも分からない。
まさにアウェイ。
アウェイ、アウェイ、世間では言いますが、この時の私ほどのアウェイはそうないだろう
詐欺加担を断ったらどうなるんだろう…と不安ではあったけど、脅されたわけでもなく、あくまでもお誘いな雰囲気だったので、お金がないからと、はっきり断った。
するとおじさんは、拍子抜けするくらいあっさり受け入れてくれた。
そしてモールで話しかけてきた奥様がどこからともなく現れて、いいお誘いなのにもったいない的なことを言ってきた。
そんな大金ないからね。予定があるから今すぐモールまで送ってほしいと言うと、これまた奥様もあっさり、タクシーを呼んでくれた。
タクシーも一味だったかも
そしてモールまで奥様も同乗して送り届けてくれた。
タクシー代は払ってくれない?と言われて一瞬迷ったが、お金がないからと断った。
お金がないしか言わない女
その奥様は終始優しかったので、送ってもらったのだから払うべき?と迷ってしまった。
今思えばすべてが詐欺だったのだから1円も払う理由はないのだけど。
モールについたら、さようならとタクシーを降りた。
それで終わり。
そんな風にあっさりと帰れたのは良かったけれど、不思議に思った。
あの人達はナニモノ??
日本に戻ってから調べてみると、出てくる出てくる、同じような体験談。
◆ブラックジャック詐欺
◆トランプ詐欺
フィリピンでも同じような詐欺が流行ってるらしい
などと名前がついているほどの有名な詐欺だったのだ。
誘いに乗らなかった人間は、警察にかけ込まれたりしないよう丁重におかえしするのもマニュアル通りなんだそう。
確かに変にトラブル起こしちゃったら警察に見つかって、詐欺活動できなくなるもんね。
なんてよく出来たマニュアルなんだろうと感心してしまった。
皆さんはわたしみたいなポンコツ
ではないと思いますが、海外旅行の際はどうぞお気を付けください。
そんなこんなで私の詐欺師との思い出ばなしは終わります。
長い話にお付き合いありがとうございました![]()
