どうしても子供が欲しい。
隠し子の呪縛から逃れるためではなく、私の中でも彼との子供が欲しい、彼と一緒に子供を育てたい、という気持ちが強くなってきていた。
今の若い人は夫は要らないけれど、子供は欲しいという。
実際女医には未婚のマザーも多い。
しかし私は彼と育てたかった。私の子を彼に育ててもらいたくなった。
それほど彼を許し、認め、欲してきているのだと我ながら実感した。
私は過去に不倫の上、妊娠したことがある。
その彼は妻子がいながらも 妻子とは別れる、たとえ時間がかかってもyuriのことは一生面倒見るから欲しければ産んでいいといった。
産んでみようかと思うと友人に相談した。
私の友人は烈火のごとく怒った。
産みたいのはあんたの勝手、でも生まれてくる子供は最初からハンデを背負うのだ。あなたの自己満足で産んでいいわけではない、子供の人生を考えろと。
私は
『子供が生まれたら、今どんな形でもあなたは私とお父さんが愛し合って出来た子だ、二人が望んで生まれてきた愛情の証なのだから決して恥ずかしがることもなにもない、普通の子といっしょなんだ、と自分の子供に説得できる自信がある』
と彼女に言った。
彼女は
『それはあんたの考え。それが他の人間に、まして自分の子だからといって同じく考えられるかどうかわからない、子供だって成長していくんだ、一人の人格があるのだからあんたとまったく同じように感じるのかはわからない、子供にもわかってもらえるだろうなんて思うのはおごりだ』と言われた。
私は自分の子だから説得できる自信があると思っていたが、自分の子である前に一人の人間なんだと言われて、呆然とした。
子供は私のものではないんだと気付かされた。
結局私は自分の仕事のこともあり、中絶した。
その罪なのか、彼との間に子供ができなかった。
私は不妊治療について勉強した。
どうしても、子供が欲しい。彼も一緒に通院してくれた。
『僕達にも子供ができたらyuri もそんなに気にならなくなるよ、二人の子を大切にすればいいだよ、たとえ認知を避けられなくなっても財産もすべてyuriとその子に行くように遺留分の無いように処分しておくから』
と彼のほうが不妊治療に積極的だった。
しかし人工授精を3回繰り返しても妊娠しなかった。
病院では一度妊娠しているのだから、必ずまたその時がきますよ、と言われたが
私はどうしてあの人にたった1回9秒でできて、私には何回トライしてもできないのか?
辛くてやりきれなかった。あちらに子がいるだけで辛いのに、自分にはできない。
愛する人の子は他の人にできて、私にはできない。
私の地獄の谷はどんどん深くなっていった。
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