こんばんは。
いや~、ZENが治勲先生に勝ちましたね。
よかったよかった、面白くなったな~。
日本製の人工知能「Deep Zen Go」国内トップ棋士の趙治勲名誉名人を破る
(ライブドアニュース、リンク切れはご容赦ください)
3月にAlphaGoがいきなりイ・セドルに勝ってしまったので、みんなちょっと感覚がマヒしちゃっているかもしれませんが、1年前までは(ごく一部の情報通を除いて)プロ棋士が互先で負けるのは、まだ10年は先だろう、という風潮だったはずなんです。
人間の順応性が高い、といういうべきですかね?
23日に行われる第3局目がものすごく楽しみになりました。
ZENはこれから強くなっていく一方でしょうが、治勲先生がもっとも若くて集中力があるのは、今しかないんです。
この瞬間にどのような姿を見せてもらえるのか、勝負師・趙治勲を見届けましょう。
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本日は囲碁サロン渋谷で本局の鑑賞会を企画しました。
家からチャリで渋谷に向かっていたところ、途中で故障してしまいまして・・・。
近くの商店街に自転車屋があるということで望みをつなぎましたが、まさかの(?)定休日。
これは何かの暗示かと思い、Twitterでこうつぶやきました。
『今日の治勲先生は「危機迫るもシノギの筋を発見!しかし予想外の落とし穴にハマりシノげず。」を予想します。』
ほぼ正解やないか・・・。
実は、その後電車で振り替えるも乗る電車を間違えるなどのチョンボをしてしまい、渋谷についたのは予定よりも40分ほど遅れてしまい・・・。
1時からの鑑賞会に向けて準備の時間がなくなってしまい、本日ご参加いただいた方にはみっともないところをお見せしました。
今日の鑑賞会の課題として
・ディスプレイと解説用大盤のレイアウトが悪い
・ニコニコ動画の音声、私の声が(たぶん)聞きづらい
・私がニコニコ動画を角度的にうまくみれなかったので、話のネタを拾いづらい
などなど、いくつかあったので、これを見直すこととしました。
23日の鑑賞会は、もっとご参加いただいくみなさんの声、質問をすぐにお答えできるようなこじんまりテイストでやります~。
大盤も使わず、普通の碁盤をみんなで囲むような感じのイメージとおもいねぇ。
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さて、昨日打たれた第1局からポイントを振り返ってみましょう。
昨日の記事にもチラと書きましたが、大橋拓文六段、大西竜平二段、星合志保初段らに話を聞きながら観戦していたので、その辺の声も含めてですね。
黒番:趙治勲名誉名人 白番:Zen
初戦、治勲先生がどのような立ちあがりを見せるか、というのが衆目の集まるところでした。
また、Zenに限らず、AIは手番の好みとしてやや白番を好む傾向にある、という噂があります。
したがって、黒番の治勲先生の仕掛けに対し、Zenがどう受け止めるか、というのが戦前の
ポイントと私は見ていました。
ニコニコ生放送では解説:一力遼くん、聞き手:万波奈穂さんという布陣。
一力くんは若干19歳ながら、異常に落ち着いてますね。(囲碁界にはまれにやたら老成した若者がいる)
万波さんのいい加減さを10%くらいおすそわけすると、ちょうどいいブレンドになると思います。
誰か、一力くんにテキトーさを仕込んであげてください。
まず、本局は序盤~中盤にかけて非常に早いペースで進行しました。
治勲先生は、基本的には序盤~中盤にかけて構想力が必要とされる局面で湯水のように時間を使う傾向があります。
しかし「秒読みの鬼」と呼ばれ、時間が短い中でも正確に読み切ることができたのも今は昔。
寄る年波には勝てない、という自覚があるのでしょう、時間を後半に温存する作戦に出ました。
ほんとは、序盤~中盤で構想を練るあたりのタイミングが、碁打ちにとってすごく楽しい時間帯のはずなんです。
でも、その欲求を抑えてでも勝負に徹しにいったことがわかるんですね。
「治勲先生、本気だね」ということです。
図1 目外し、目外し、からの・・・
治勲先生、さすがに魅せてきました。
2つの目外しも珍しいですが、さらにこの7手目(△)の構えは珍しい。
大上段の構え、という感じでしょうかね。
AlphaGoとイ・セドルの第1局目も、このような趣旨の手をイ・セドルが打ったのですが、イメージとしては「間合いをずらす」と捉えて良いでしょう。
とはいえ、この程度でZenがどうなるとは露ほども思っていないでしょう。
どちらかというと、観戦している方々へ「俺はいろいろやったるけんね」というメッセージ発信を兼ねていたのかもしれませんね。
治勲先生、右上の白に先制攻撃を仕掛けました。
右上の白は隅を占めていたように見えますが、その肺腑を抉る急所の一撃、という感じです。
ただ、実際には右辺の黒4子もけして強い石とは言い難く、一方的に白が攻められる、という展開ではありません。
つまり、穏やかな進行を選ばず、お互いが弱い石を抱えながら競い合う展開に治勲先生が誘導した、という一着でした。
黒が右下にカカった場面(△)で、白1~黒6まで、右下の星に打たれている白石を忘れているかのような挙動です。
ふつう、こういう進行は白の立場では「すごく怖い」んです。
だって、2手目に星に打ったって言うのは、価値が大きいと思ったから打ったわけです。
そんな大事な石を、たかだか30手後になったら、もう「お前には失望させられたよ」と言わんばかりに放置して、白は右辺に注力しちゃっていますからね。
でも、右上から始まった戦いを視野に入れると、Zenは右下の白がどうなるか、ということよりも、右辺の白石たち、そして右上から伸びている黒の一団を狙う方がよっぽど大事な局面になっている、と判断したのですね。
このあたりが、人間らしい感傷(=右下星の白石は価値が高い)とは無縁で、AIらしい大局観の良さを示している進行だと思いました。
ちなみに、一緒に観戦していた騎士の面々も「いやー、勇気ありますねー」という感じでしたね。
宇宙人と言えども、しょせんは生物か。
さらに手は進みこの局面。
右下の白はダメージを負ったものの、右辺の黒の一団はまだ少し弱い状態です。
また、右上の白の一団は、やや中央に勢力を蓄えました。
このあたり、試合前に治勲先生が表現した「石の力学」に関してZenが優秀な感性を発揮した、といえるかもしれません。
(ただし、人間にはこのあたりの評価が難しい)
そして、白1と右上の黒に大いに迫る一撃!
もともと、黒が右上の白の一団を攻めようと「肺腑を抉る急所の一撃」を繰り出したのですが、40手程進んだこの局面では、逆に白が右上の黒を攻める展開になっています。
ニコニコ生放送では、このあたりで本局の立会人である張栩九段が登場し、一力くんとのダブル解説をしていました。
張栩さんはこの手を評し「手広い場面(≒いろいろな選択肢が考えられる場面)でZenが打った白1のハサミは、おそらく最善の一手に思われる。この手をごく短時間で打てることはものすごく強い」という趣旨のことを言っていました。
白が△にアテた局面で、治勲先生は本局で初めて長考されました。
通常、アタリをされたら逃げるのが人情(?)ですが、実は右上の黒の一団はまだ生きが確定していません。
上辺の白3子を飲み込みながら、地を持って生きてしまおう、という趣旨でしたが・・・。
上辺、白は抵抗する手段もありましたが、実戦は流れに逆らわず上辺の白数子を平然と捨てました。
しかし、代わりに左上に突入。
上辺から中央にかけて白の壁がどどんと出現しましたから、図1で黒が大上段に構えた、というのがこの場合は隙だらけのかっこうにさせられてしまった、という感じです。
このあたりで、白は優勢に立った、と見て良いでしょう。
図7 Zen、ソッポを打つ?
左上で折衝がありましたが、このあたりではニコニコ生放送の一力さん、張栩さんとも「Zenが疑問手を打ったのでは」というニュアンスでした。
また、黒が△にハネたところでZenは左上を放置して、下辺へ!
このあたりの挙動が、人間が違和感を覚えるところですね。
確かに、普通の人間の感覚ではそのとおり。
ただ、ここでZenの思考を無理やり解釈すれば、意外にも一理あるかもしれない、という話を棋士のみなさんとしていました。
長くなるので本記事では割愛し、後日、別記事としてまとめます。
ここが本局のハイライトです。
ニコニコ生放送で、局後のインタビューで治勲先生がもっともこの黒1を悔やんでいました。
ポイントは2つです。
ポイント① そもそも、右下の白を取るよりも下辺に展開する方が大きかった
黒1と、下辺に3間ビラキが良い見当でした。
右下は、白2~4などと打てば生きることができますが、これらの価値は約30目です。
(白地が5目できるか、黒地が25目できるかの差)
黒1は感覚的には35目前後の価値があります。
(黒地が10目できるか、白地が25目程度できるかの差)
地の大小だけでなく、他にも別の要素があって、実戦よりもよほど下辺に展開していた方が優っていた・・・ということでした。
ポイント② 右下の死活で読み落としがあった
113手目の黒の一着(△)に対し、白1が治勲先生が読み落としをしていたようです。
(局後のインタビューで治勲先生が言及)
この手を打たれた直後、治勲先生は本局で最長の考慮時間を投入しました。
ボヤく、ボヤく、ボヤく・・・。
おそらく、本局でもっとも苦しい一瞬だったのでしょう。
死活がからむ、非常に難しい局面でした。
正確に打てば、Zenはここではっきりと優勢を築くことができた、はずです。
はずでした。
白1とマゲた手が、敗着です。
この手では、最善手を打てば、少なくとも白は無条件死ではなくコウに持ち込むことができました。
この手を治勲先生が見た瞬間、ボヤキがピタッと止まりました。
この手がダメな理由は図示しません(実戦には後に現れる)が、9手の読みが必要です。
しかし、ほぼ分岐のない一本道ですから、棋士、あるいは相応の棋力がある人間なら10秒もあれば十分読めてしまう程度には易しいところでした。
すなわち、治勲先生を相手に伍して戦ってきたZenが、このような簡単な読みを間違えてしまうというのはものすごくアンバランスなことなのです。
このあたりも、囲碁AIの課題が内包されているように感じました。
これも後日まとめます。
歴戦の勇者、趙治勲。
この白の1手を境に、本局を収束に向かいました。
実際には、まだZenが最善を尽くせばまだ形勢不明だったのかもしれないようでしたが・・・(局後の検討で張栩さんが言及)。
本局、治勲先生は「形勢は、ずっと自分が悪いと思っていなかった」とのことですが、時間の使い方などをみると、上辺の折衝、そして右下付近の瞬間は相当に苦しかったと想像します。
ただ、治勲先生がもっとも悔やんだ手(図8)が皮肉にもZenの敗着(図9)を呼び寄せたような気がします。
大橋拓文六段はTwitterでこうつぶやいていました。
「対コンピューター戦を見て思うことは勝利を呼び込むのはやはり気合いだということです。人間から見たら不可解な挙動でコンピューターがおかしくなるというのが人間の勝ちパターンですが、そこに至るまでには【渾身の○○】としか形容し得ない何か、が必ずあります。そのような所にぜひ注目して下さい。」
図8の一手を【渾身の】と表現したら、治勲先生はどう感じるかなぁ?
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2局目も本記事に含めようと思ってましたが、もうけっこういい時間(深夜2時20分)なので、明日にまわします~。
例によって長くなりすぎました。ごめんね。











