こんばんは。
最近はとても筆が進みますね~。
やっぱり、人間、エネルギーが投下されると元気になります。
私の燃料は囲碁ネタとコーヒー牛乳ですね。
今日はニコニコ生放送で「【囲碁電王戦特番】コンピュータ囲碁研究会」という番組が放送されていました。
わりとコンピューター囲碁に関するベーシックな内容だったので、ここ1年ほどコンピューター囲碁を追ってきた私にとっては新しい知見はありませんでしたが、ほとんど知らない方向けの内容としては良かったのかな?
ただ、番組内で1つ気になった点があり、これを今日はネタにしてみました。
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第2回囲碁電王戦の記者会見で、治勲先生のコメントとして「AIは囲碁の力学がわかっている」という趣旨のものがありました。
これを聞いて私が思ったのは「やはり、AIは人間に比べて形勢判断が優れているんだろうな」ということでした。
囲碁は盤面に全ての情報が表現されています。
ですから、過去の経緯や、どのような手順でそこに至ったか、ということは本質的には無関係です。
しかし、人間は過去から現在に生きてきたものですから、どうやら時間軸のようなものを認識から外すことは難しいみたいです。
囲碁に限らず、いろんなことを「ストーリー仕立てで」考えてしまう傾向にあるように思えます。
一方、AIはそのような感傷(?)はありませんから、囲碁の形勢判断に関しては本質的に正しい「絶対評価」を行います。
AIがディープラーニングで最も強化された部分は、人間が大局観、感性、感傷(?)、幻想(??)で評価してきた布石の部分でしょう。
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上記は概念的なので、具体例を出します。
ネタは「【囲碁電王戦特番】コンピュータ囲碁研究会」で紹介されていた局面です。
1983年 第7期棋聖戦第7局 趙治勲(白) VS 藤沢秀行(黒)

棋譜再生
まず、番組内で「趙治勲流」と紹介されていた手が以下の図です。
この白1(白34手目)の意味は、左上の黒5子を攻めよう、という趣旨の手です。
私にはこの手がごく自然の1着に見えましたが、一方では「黒の厚みに近寄りすぎではないか」という意見もあったようです。
1手戻して、黒33手目を打った直後の局面を力学的に評価をしてみましょう。
図2
このとき、大方針として最後の大場である左辺に目を向けるのは自然と思われますが、問題は着点です。
着点決定の際、私は図2の○、△、□の順に状況を分析します。
○(左下)・・・左下は三々と三線への二間ビラキ、ほぼ生き形と言え、非常に強い形である。
強い形からはできるだけ離したほうが効率的である。
△(右上)・・・右上もケイマのスベリ、二間ビラキと相当に安定的な形である。
上辺のオサエ(下図2-1)は左上の白は直接先手ではなく、右上の白にも大きな影響を
与えない位置関係となっている。
□(右下)・・・黒1子を抜いた後の形で、ほぼ生き形に近く、強い形である。
これらを総合的に考えると、本局の主戦場となるであろう左上から左辺にかけては、積極的に白が仕掛けるべき局面、と私は考えます。
ここまで、図2の局面をパッと与えられればそう考えられても何らおかしくありませんが・・・。
これを過去の10手ほど遡って、ストーリー仕立てで考えてみることにしましょう。
図3 シチョウアタリ!
白△(24手目)で黒1子をシチョウで白が取ったときに、黒1(25手目)がシチョウアタリです。
左上の折衝でシチョウが悪くなったので、白3と黒1子を取る手は必要です。
そこで、左上は黒に連打されることになりました。
これは図4の左上、盤面の4分の1だけを拡大したものです。
この範囲だけで評価すれば、まさに黒の厚みが幅を利かせている、と言えましょう。
白3を遠く離れた右下に打っているのですから、左上に限って言えば白が遅れを取るのは当然です。
人間の形勢判断が誤ってしまう可能性の1つが、図3~図4-1まで示したように「シチョウアタリとして左上を黒に二連打されている」という認識の仕方です。
事実なのですが、全局的な石の配置、力学的な評価を行う際には、無用どころかミスリードをしかねません。
これは、碁打ちとしては肝に銘じなければいけない、形勢判断のキモの1つと考えます。
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治勲先生のコメントとして「AIは囲碁の力学がわかっている」というのは、AIを擬人化した表現なので、正確な表現ではないかもしれませんね。
逆に「人間は時系列にしばられず、力学的に囲碁を判断しなくてはならない」という自らへの戒めかもしれません。
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