こんばんは。
昨日の記事でも取り上げた通り、本日14時からDeepZenGoプロジェクトに関する記者発表会 がありました。
結論から言いますと・・・
Zen VS 趙治勲九段 3番勝負決定!
ほらね、予想通りだったでしょ。えっへん。
詳細ページは以下です。
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第2回 囲碁電王戦 趙治勲名誉名人 vs DeepZenGo
世界最強囲碁ソフトを目指す、その名も『DeepZenGo』が
囲碁プロ棋士界の生ける伝説『趙治勲』名誉名人に挑む注目の一戦!!
■三番勝負 開催日時 |
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| 第1局 | 2016年11月19日(土) |
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| 第2局 | 2016年11月20日(日) |
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| 第3局 | 2016年11月23日(水 祝) |
番組開始(ニコニコ動画)12:30/対局開始13:00
■解説・聞き手 |
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| 第1局 解説:一力遼七段、聞き手:万波菜穂三段 |
| 第2局 解説:高尾紳路名人、聞き手:吉原由香里六段 |
| 第3局 解説:井山裕太六冠、聞き手:吉原由香里六段 |
■対戦ルール |
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・19路盤。互先、先番6目半コミ出し 日本ルール
・ソフトの貸し出しは無し
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う~ん、これはガチですね。
さて、まず直観的に勝敗予想をしてみましょう。
Zen 3勝 - 0勝 趙治勲九段
いかがでしょうか?
悲しいと思いますか。つらいと思いますか。
私のことを薄情だと思う方もいますか。
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私は、治勲先生の弟子です。不肖の弟子ではありましたが・・・。
3年半、内弟子をしていましたから、治勲先生の人となりはおおよそ
よくわかっている、と言えましょう。
今からちょうど20~17年前くらいでしたか、当時治勲先生は40歳から40代
前半といった年の頃です。
97年には7大タイトルの中でも、上位3つの棋戦である棋聖・名人・本因坊を
保持しており、「大三冠」として日本囲碁界に君臨していました。
治勲先生を弟子の立場で表現すれば・・・月並みの表現ですが・・・
「囲碁の鬼」とでも言いましょうか。
私が知る限りにおいて、最も囲碁に真摯に、切実に、貪欲に立ち向かっていた
ように見えました。
6歳で韓国から来日し、11歳でプロになり。
50年ほども前の話ですから、韓国からやってきた少年が、たった1人で戦い
続けるための覚悟は、ちょっと想像しがたいほどの過酷さがあったのでしょう。
10代、20代の頃は、囲碁への情熱の裏返しからか、囲碁に不誠実な光景を
目の当たりにすると、言動や行動で強く反応を示すようなエピソードには事欠き
ませんでした。
私が知る40代の治勲先生は、それらの強い感情を、対局中の所作以外では
出すことは少なくなりました。
それでも、まれに激しい熱情を垣間見ることはあったのです。
時は経て、治勲先生も今年で60歳になりました。
藤沢秀行先生が67歳で最年長タイトルを取ったのも昔の話で、現代では
ベテラン棋士がタイトル戦線に顔を出すことは、まず難しいでしょう。
年間を通して調子を維持し、トーナメントを勝ち抜くことは大変です。
(ここからは私の妄想ですが・・・)
治勲先生はその精神、囲碁への情熱とは裏腹に、囲碁に勝ち続けることが
できなくなっていることを、ものすごく悔しいと思っているのでしょう。
1局にかける瞬発力は若い人と伍して戦えても、持久力で敵わない。
碁打ちとして、悲しい、悔しい、もう一度勝ちたい。
最近の治勲先生は、とても飄々としていて、トークも軽妙。
おもしろおじさんとしての地位を確立しつつありますが・・・。
私には、いろいろな悲しみをすべてくるんで、己の内に留めているように
見えてなりません。
それを他人にほとんど感じさせない程の役者ぶりであり、頭のいい人だと
思うのです。
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「Zen」はプロ棋士に比肩する棋力を得た今、公式な場で強い棋士と打ち、
実力を示したかった。
ドワンゴは興業的に知名度のある棋士をアサインしたかった。
日本囲碁界は・・・もはや避けられる戦いではなかった。
戦うからには、勝てる棋士か・・・負けても絵になる役者を揃える必要があった。
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囲碁AIが人間の棋力を超えることは、時代の流れだと私は認識しています。
たぶん、治勲先生も、その時代の流れを感じている、と思います。
しかし、たしかに日本囲碁界には「趙治勲時代」があった。
治勲先生個人には、強烈な矜持があることでしょう。
一方で、囲碁界や棋士のあり方も問われています。
「強さ」というわかりやすいものさしがAIに奪われつつある今、囲碁界は、棋士は
何を付加価値とすべきか?
治勲先生程、真剣に囲碁のことを追求してきた人ほど、まさに今痛烈に感じている
ことなのかもしれません。
今回の3番勝負、AlphaGoを見ている以上、日本囲碁界は負けた時のことを
考えざるを得ません。
負けてなお、ファンのみなさんに何かを残せるほどの役者は、棋士の中にもそう何人も
いないのです。
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私は、囲碁というもののゲーム性をこよなく愛していますから、囲碁AIが強くなることには、
なんの生理的な忌避感を持っていません。
しかし、治勲先生の弟子の1人として、もう一度、彼の鬼をみたいという気持ちも強い。
日本囲碁界で、おおよそ30年もの間第一線で戦ってきた治勲先生がもし負けると
いうことになれば、それは1つの時代の終わりを象徴するのでしょう。
私は、おそらく治勲先生は負けると思っています。
でも、新しい時代の流れにとことん抗ってほしい。
願わくば、師匠に幸運を。
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第1局目が行われる19日は「スペースマンでGO!」の収録がありますが、20日、
23日は幸いにして予定がありませんでした。
なので、私も弟子の1人として、師匠の戦いぶりをファンの皆様に自分の言葉で
お伝えしたいな、と思っています。
鑑賞会/解説会的なイベントをやります。
現在、場所や企画は調整中ですので、別途ご案内致します。
どーぞよろしく。