こんばんは。


毎週火曜日は「特別養護老人ホームで囲碁教室 」 です。

本日、写真が掲載できたらいいな~と思っていたのですが、まだ最終確認が取れなかったので、来週以降に持ち越しです。


今回で5回目になりました。

おおよその方は、一週間前のことは忘れており、みなさん口々に「囲碁は初めてなんです」とおっしゃいます。

でも、毎回ゼロクリアになっているか、というと、そうでもないんです。


まず、碁石と碁盤を出してもらう。

交互に打つ、交点に置く、ポン抜く・・・

こんなことを教えて、石を握って打ってもらう。

これだけでも、楽しそうです。


推測ですが、一週間前の出来事・記憶はなくても、楽しかったという感情はなにかしら残っている気がします。

だんだん、囲碁教室がやりやすくなっているように感じるのは、たぶん気のせいではない。


94歳の男性の参加者に「やあ!村上さんではないですか!!大変お久しぶりです!!」と話しかけられました。

はて?と思ってみると「同じ小学校だった○○です!」とのこと。

これ、俺が老けてるってわけじゃなくて、若返っていただいたんですよね・・・?

そう思うことにしよう。ありがとう!


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AlphaGo同士の対局 第1局目の解説 に続いて、本日は第2局目の解説です。

といっても、deepmind社の公式ページ のコメント、参考図を流用しているだけですが。


本局では、AIの手どころの読み、死活にまつわる能力に着目すべきです。


そういえば、昭和の偉大な棋士の1人に高川格先生がいらっしゃいました。

高川先生の棋風は穏やかで明晰な形勢判断能力、大局観にその真価があると言われていた一方、口がさない論評では「高川のパンチではハエも殺せない」などと言われ、接近戦に難がある、などと言われることも。

(ちなみに、高川先生が夏の対局中に、迷い込んだハエをつかまえ、ニヤッとしたというエピソードもあります)


4月の記事 にも書きましたが、一般的にモンテカルロ法を採用している場合、一本道の死活や手どころの読みは苦手です。

以下、記事より抜粋。


『・・・モンテカルロ法は確率的手法です。

したがって、「ああ打っても1局、こう打っても1局」というような布石~中盤始めくらいの段階では、モンテカルロ法は強みを発揮します。勝率60%と59%の手があったとして、仮に59%の方を選んだとしても、有利は有利ですよね。

逆に、死活や攻め合いなど、分岐がたくさんあっても正しい手順が1つだけ(一本道)というのが苦手です。

人間なら、動物的な嗅覚で読みのルートを絞り、脳のリソースを集中投下しますが、コンピューターはどれだけ効率的な技術を用いても、いくつもの候補手をフラットに探索かけざるを得ない仕様になっていますから。』


AIは、やはり接近戦になると弱さを露呈するのでしょうか。


つぶや棋譜に転記しました。

上記ホームページからダウンロードした英語の棋譜をそのまま読み込ませたので、コメント等もdeepmind社が公開したもの、そのままです。


黒:AlphaGo

白:AlphaGo



棋譜再生


172手完 白中押し勝ち


以下、添付のコメントをざっくり意訳しました。

今日は時間があるので、参考図入りです。


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1手目:1局目と同様に1手5秒という超早碁。48手目までは1局目とまったく同じため、そこまでの解説はAlphaGo同士の対局 第1局目の解説 を参照されたし。


49手目:黒49で初めて変化した。1局目はL14にノビたが、おそらくAlphaGoはその進行で負けて不満だったのだろう


51手目:黒は二段バネを選んだ。もし白が自重した場合、以下の参考図のような進行が考えられ、黒が有望となるだろう。


参考図1-1

黒2とアテ一本で先手を取り、右辺の黒の一団は足早に黒4、8と逃げだしていく。


参考図1-2

参考図1-3

参考図1-2から1-3のように進行したとすれば、黒は右辺を安定させ、代わりに白は上辺に突入することになるだろう。この折衝が勝負所となる。


52手目:しかし、白52が鋭い着手で、黒のリズムを狂わせた。


参考図2

黒53ではこの黒1とつなぎたいが、白2~4と策動されると、白8のときに黒9のツナギが省けず、白10となって上辺の黒の構えが崩壊する。


54手目:このような形になっては、上辺の黒に様々な味があり、黒は全てを守り切ることは難しい。


61手目:白52の機敏なノゾキから生じた上辺の味の悪さに対応するため、すぐに外勢を補強した。


68手目:想像しにくいかもしれないが、黒はかなり危険な状態。この時点ではまだ脱出する空間があいているように見えるが、形勢はかなり黒に取って厳しいものとなっている。


参考図3-1

黒はこのように逃げる必要がある、白は考えていた。


参考図3-2

ここで白1と上辺に突入する。様々な味を活用すれば、以下白13まで上辺を荒らすのは容易。

白15となれば白が優勢。


69手目:この黒のノゾキは様子見。


70手目:白はオシて反発した。若干、右辺の黒に対しての圧力は弱くなったが、勝負としては妥協のない打ち方である。


71手目:なんと右辺を手抜きし、上辺を備えた!上辺は非常に手厚くなったが、右辺の黒の一団はどうなるか。


73手目:ここで安易にわたってはいけない。


参考図4-1

白1とわたると、黒2から有無を言わさぬ進行を黒は辿らせる。


参考図4-2

白1~白7までは一本道で、黒は先手で右辺に1眼を得ることができる。黒8と飛んで、この黒の一団は取られる石ではない。


74手目:白72、74の連打でこの黒は死んでしまう運命は避けられない。


87手目:黒はどうにか下辺に1眼ができそうであるが、スペースが足りていない。2眼を作るのは難しい。


91手目:黒はこの時点ではまだ容易にサバけると考えていた。しかし、白はその黒の幻想をぶち壊すだろう。実際には、黒は以下の図のコウを仕掛ける予定だったが、白の強烈なコウ材に抵抗できなくなる。


参考図5-1

黒1と打った時に、上辺にコウ材づくりのため、白2と様子を聞くのが機敏なタイミング。この手筋を黒が受けきるのは難しく、部分的に全てを防ぎきるのは黒3、5と受けるしかないが・・・


参考図5-2

※白5は黒4の一路上(コウ取り)


白1からコウを仕掛け、白9と這えば上辺に白からのコウ材が非常に多く、黒はコウを争いきることができない。


96手目:黒は白96で以下のように打つと期待していた。


参考図6

白1と安易に外を出ると、黒16まで長手数だがほぼ一本道の進行となる。

Aに打てばすぐに黒は2眼を確保できるので、このコウは花見コウである。

この黒が生きれば、上辺の黒の雄大な構えがものをいう展開になる。



しかし、実戦の白96という無慈悲な一撃が、黒を過酷な現実へと追いやった。

この後の折衝は複雑ではあるが、実際には黒にチャンスはない。ただし、白は最善を逃すが、AlphaGoの観点ではその次善の策はもっとも単純で明確な進行と考えているのだ。


132手目:部分的にはコウになったが、黒から仕掛けるチャンスがない。


参考図7-1

黒1とコウをしかけ、黒3がもっとも抵抗しているが・・・


参考図7-2

白はかまわずコウを解消してしまう。下辺が非常に大きく、黒2と生きたところで、白3と左上の白が死ななければ大いに優勢である。


※村上註 おそらく、形勢としてはコメント通りですが、人間同士の対局であれば疲労というものがあるので「勝負を長引かせたくない」とか「楽観して後退し、逆転される」というケースがままあります。しかし、コンピューターは疲れもしなければ集中力を切れることもなく、過大な楽観をすることも少ないでしょう。96手目のコメントにあったとおり、まさにAIらしい読み筋と言えます。


144手目:黒はコウを仕掛けるラストチャンスだった。とはいえ、結局コウ材が続かない。


146手目:白は無条件で黒を殺した。あとは仕上げを見るのみだ。


172手目:黒投了。AlphaGoの大局観については周知の通り。しかし、死活については疑問視する声もあった。しかし、AlphaGoの凶暴性はそれらを吹き飛ばすほどのものだ。本局は確かにAlphaGoの戦闘力を証明すべきものだろう。


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個人的には、白52のノゾキ、そして参考図5-1としてAlphaGoの読み筋に現れている白2のオキ、このあたりが深い読みに裏打ちされた衝撃の1着ですね。

いやー、これは強いな。