こんにちは。


おととい、囲碁クエで久しぶりに格上に勝てました。

ちょっと検討してみると、なかなか面白い変化を内包していたみたいなので、ご紹介です。

かなりマニアック(有段者~高段者向け)です。


なお、囲碁クエは「5分+1手毎に3秒加算」というルールなので、よほど長くても

1局15分はかからない、という早碁ですね。

計算は中国ルールを採用しており、コミ7目です。(ジゴあり)


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私の白番です。


棋譜再生


140手完 白中押し勝ち

最後はコウに勝てずに投了しましたが、数えると盤面黒2目勝ちというところで

コウは勝敗には直接影響しませんでしたが。


図1(実戦 白4~白6)

最近、13路では時折試みる手法です。

これは、以下の選択肢を左下に残しておきながら、右下の黒の応手によっていずれかを選択しよう、という狙いです。


図2(左下の選択肢)

AまたはBが一般的な選択肢ですが、状況によってはCとハネ出す手も成立します。


白8と下から押さえたのですが、実は右から押さえる手が有力かもしれません。

その変化は、本記事の後半(マニアック変化 その2)に記します。


黒11までとなって、図2のA~Cをそれぞれ検討してみましたが、あまり良い後続の手段がありませんでした。

やや、趣向は空ぶりです。

仕方なく、Bを選択しましたが、やや下辺の白の幅が狭く、この時点ではあまり流れが良くありません。


白14は、下辺の白を守る前に、少しでも働かせようという意味の手。

黒15から黒17と足早に空き隅へ先着して、黒のリズムが良さそうです。


白18は大橋拓文流(?)。

白20のコスミは形ですが、黒21~23は白14との感覚が白が狭いので、ここは白を固めても、石が重複していて効率があまり良くないから問題なかろう、という趣旨でしょう。

黒白とも固まり、黒25まで足早に打ち進めるという方針は黒さんは一貫しています。


白26は、心得がある人だと、瞬間的には「ぎょっ」とする手でしょう。

おそらく盲点に入る着点の1つかなと。


図3(一般的な着想)


囲碁の格言の1つに「斜い(ハスカイ)にノゾクは急所なり」というものがあります。

この局面では、Aの断点から見て、斜めの位置にある、この手がごくごく一般的でしょう。

ただ、これでは踏み込み不足と考えました。


黒27は手筋の切り返し。

白28~黒31までは必然の進行です。


白32で小考しました。

おそらく、実戦の白32が最善と思います。


というのは、実戦の進行のとおり、黒35までいったん隅を確保しましたが、白36が好点と見ました。

右下、部分的に手が残っています。


図4(後続の狙い)

黒37で、図4の黒1などと別の場所に打つと、右下は白2~白6まで、コウにする手段が残っています。

これが△の石(白32)の効果です。


このような爆弾を抱えていては打ち切れないと、黒37~黒41まで丁寧に右下を生きました。

しかし、白38と左下の黒に影響を及ぼせる位置に自然と石が向かい、白の流れが良くなってきました。


白42~44はこの形で時折打たれる強硬手段の1つです。

実戦は隅の黒3子を捨てたのですが、別の進行も考えられました。


図5(黒、隅の石を助ける)

このように黒1~3と打てば、中央に脱出はできます。

しかし、△の石(白36)がちょうどよいところにあり、下辺の白は安泰なので、白4~6と黒の眼を狭めながら、左辺の白の構えを強化する手が絶好です。

左下の黒はまだ完全に生きていないので、この黒を生きながら、左辺の白地を狭めることの両立はできない、と直観的に判断し、実戦の進行を選んだものでしょう。


黒45~白50まで振り替わり、さらに黒51~黒55まで稼ぎまくって、左辺の黒はどうにでもなれ、という居直り作戦に来られました。


取りかけに行く展開も考えましたが、ここで形勢判断。

・・・生かして、形勢悪からず、とみました。


白56と中央に白地をつけて、地合い十分と考えました。

ここで、黒59が決定的な敗着になったと思います。

白60の場所に「ピン!」とつなげて、左下の白地が味良く確定しました。

この後も、コウ争いが発生しかけましたが、白72と譲って黒はコミが出せない形勢です。


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ここから、マニアックな変化を2つほど載せます。

ある程度、詳細手順を省略しているところもあるので、わからない部分が出てきたらゴメンナサイ。

(たぶん、スッとついてこれるのは高段者くらいから、というレベルの内容になります)


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■マニアック変化 その1(左下の手の付け方)


実戦解説で黒59が決定的な敗着になったと言及しました。

では、黒はどう打てば良かったのでしょうか。


図6(黒59で変化)

白60とつないだ場所に、一回出ておく、ということですね。


左下、なかなか難しい変化を内包しています。


図7(黒ツケに対して・・・白失敗)

黒1に対して白2とアテるのは失敗です。

黒3とここにハネる手があり、これを遮ることができません。


図8-1(黒ツケに対して・・・白成功①)

図8-2(黒ツケに対して・・・白成功①)

*黒2は白7の場所へホウリコミ


図8-1から8-2は、いわゆる「石塔シボリ」を黒は狙ったのですが、これが最終的に成立していないということです。


図8-3(黒ツケからのさらに変化・・・白成功②)


黒3と白4の交換を先にしておくとどうなるか?という変化です。


図8-4(黒ツケからのさらに変化・・・白成功②)

*黒2は白3の一路上の場所へホウリコミ


今度は、白5とこちらで受けられます。

黒6に対しては白7と後ろからアテて、黒がダメヅマリでうまくいきません。


図8-1から8-4まで、黒ツケがうまくいかないことを示しました。


図9-1(黒コスミ・・・最善のヨセ)

黒1とコスんできた場合、白は2~4と応対するのが最善です。

しかし、ここで黒5とこちらにハネる手があります。


図9-2(コウ争い)


さらにこの進行も必然です。

白5とコウを取り、ここで黒から白に対する良いコウ材がないので、このタイミングでは黒6ではツナグ(黒2の一路上)くらいになるでしょう。


図9-3(黒コスミ・・・白が抵抗した場合は白ツブレ)


図9-1の白4手目で変化した場合です。

この図のように白4と打った場合、黒5と白6を先に交換するのがうまく、以降黒13までウッテガエシで白が取られて、白ツブレとなります。


図9-1から9-2までが左下の変化の決定版です。

実戦、時間の非常に短い中で「なんだか味が悪いなぁ」と考えていましたが、やはりよく読んでみると、手段はあるものです。


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■マニアック変化 その2(序盤の趣向)


前述の、序盤の趣向について少し考えてみました。


図10(実戦とは反対側をおさえる)

白1と右側を押さえた場合、おそらく実戦と同じように、黒2~黒4まで推移するでしょう。


図11(強硬手段)

ここに切ってみる手を真面目に考えてみました。

結論を先に言うと「これ、成立しうるのでは?」ということです。

パッと見では、正気の沙汰ではないのですが。


図12-1(普通にとってみる)

黒の応手としては、もっとも自然なのはこの手ですね。

次の図は、私が考える白の最善の進行です。


図12-2(白、手順を尽くす)

白1~黒6までそれぞれ有無を言わさない進行です。

ここで、白7が手筋のワリコミ。

いろいろな利きを横目で見ています。


図12-3(進行一例)

黒の応手はいろいろ考えられますが、黙って黒1と取るのが最善と思われます。

しかし、白2と黒2子を取り込んでは、技ありでしょう。

以降、黒3~白10まで変化一例ですが、白が戦えるのではないかと見ます。


ここまで、図12-1と普通にとるのは、白からアクロバティックな技にかけられる可能性がある、ということを示しました。


図13-1(黒、がんばる)

黒1~白2までは一緒ですが黒3と上をつないでみました。

このまま白を取れれば、最高です。


図13-2(白策動す)

今度は、このように手を付けていきます。


図13-3(黒、取りに行くが・・・黒失敗)

黒1とハネ出すと、白3子を取ることはできます。

しかし、白4のカケから白6~白8と外勢を取られ、白10と空き隅の大場に回られては全局的に白が優勢です。


図13-4(攻め合い)

黒1~黒5まで、下辺の白と右下の黒の攻め合いはどうなるでしょうか。


図13-5(続・攻め合い)

白1とこちらからハネるのが正解です。

さらに、黒4のオサエに対し、白5が気づきにくい攻め合いの急所。


図13-6(続々・攻め合い 黒失敗)



*黒5は白4の一路左へホウリコミ


黒11まで黒から見て一手ヨセコウですが、もともと黒の勢力圏での戦いですから、黒の不利なコウではまったくダメですね。


図13-7(図13-4での変化・・・黒、身をかわすが)

図13-5で右側をハネられて攻め合いに負けてしまったので、先に黒がハネたらどうなるか?という変化図です。

白4と下辺を受け、黒5の切りには白6~白8と打ち、下辺の黒3子を飲み込んでしまえば、わかりやすく白が優勢です。



さて、いろいろと変化図を載せましたが、今のところは白がうまい図ばかり見つけています。

どこかの手順の最中に黒が良い手があるかもしれません。

実戦を経ながら、さらに進化させてみたいと思います。


再掲(急戦戦法)

こんな手が成立したら、びっくりしちゃうね。


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