妄想劇場 ~リアル・ブレイン⑤~ | 気まぐれバードのキマグレコ

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りさが階段を上がりだすと同時に、俺はようやく前に動くことができた。
りさは転がりながら3階のフロアに到達した。


りさ「れ、れんたー。あ、あひろぶが…。」


健太「あ、明信が…。まさか!」

俺はそう言うと、りさはコクッと頷いた。


健太「クソッ!こんなのおかしい!りさ、下に降りて帰るぞ!警察に連絡して…。」


りさ「ま、まっれ。そんなころしらら、わらしもつからってしらう。」


健太「…拓哉のことか。でもあれは、クスリで錯乱させられただろ?調べてもらえれば、大丈夫だって。」


りさ「れ、れも…。」


健太「帰ろう…。」


そう言うと、俺ら二人は元来た道を引き返そうとした。
しかし、さっき俺が進めなかったように、今度は後戻りできなくなっていた。


健太「クソッ!なめやがって!」

りさ「しがらない。やるしがないんらね。みて。」


俺は、りさが指差すほうを見た。
すると、両側の壁にそれぞれ扉がついていた。


健太「もっているカギで開けられるのか?」


俺は、試しに階段から見て右側の扉にカギを挿し込み回してみた。
しかし、カギは挿し込めるもののまったく開かなかった。


健太「反対側なのか?」


そう言うと、反対側へ行きカギを挿し込み回してみた。
しかし、カギはまったく開かなかった。


健太「どうなってんだ?」


りさ「ろうじにしらいとあからいんじゃらいろ?」


俺は、「じゃあ…」と言いかけたが、ちょっと考えた。

「また…、どちらかが犠牲になる…。
もうそんなのは、たくさんだ!」

そんな思いが脳をかけめぐった。


りさ「れも、もろれないんらっらら、やるひからいよ。」


健太「………クソッ!」


りさ「わらひがはるれをひいらっれ、うらまらいから。」


健太「りさ……。」


りさは、優しいことばをかけているようだが、だけど逆にそれはりさを死なせてしまうかもしれないことになる。


健太「本当にやるんだな。いいんだな。」


俺もここにいてもラチがあかないことは、よくわかっていたから、腹を決めることにした。


健太「りさから選んでいいよ。その方がまだ生き残れる確率は高いから。」


りさはコクリと頷き、階段から見て左の扉を選ぶとカギを挿し込んだ。
俺は、りさの反対側へ行き扉にカギを挿し込んだ。


健太「りさ…、本当にやるんだな。いいんだな。」


りさはコクリと頷いた。


健太「分かった。じゃあ、いちにのさんで開けるぞ。」


りさのほうを見ると、りさは頷いた。
俺は一呼吸息をついてから、掛け声を発した。


健太「いくぞ!いち、にぃの、さん!」


二人は同時に扉を開けた。











※この物語は、フィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。