りさが階段を上がりだすと同時に、俺はようやく前に動くことができた。
りさは転がりながら3階のフロアに到達した。
りさ「れ、れんたー。あ、あひろぶが…。」
健太「あ、明信が…。まさか!」
俺はそう言うと、りさはコクッと頷いた。
健太「クソッ!こんなのおかしい!りさ、下に降りて帰るぞ!警察に連絡して…。」
りさ「ま、まっれ。そんなころしらら、わらしもつからってしらう。」
健太「…拓哉のことか。でもあれは、クスリで錯乱させられただろ?調べてもらえれば、大丈夫だって。」
りさ「れ、れも…。」
健太「帰ろう…。」
そう言うと、俺ら二人は元来た道を引き返そうとした。
しかし、さっき俺が進めなかったように、今度は後戻りできなくなっていた。
健太「クソッ!なめやがって!」
りさ「しがらない。やるしがないんらね。みて。」
俺は、りさが指差すほうを見た。
すると、両側の壁にそれぞれ扉がついていた。
健太「もっているカギで開けられるのか?」
俺は、試しに階段から見て右側の扉にカギを挿し込み回してみた。
しかし、カギは挿し込めるもののまったく開かなかった。
健太「反対側なのか?」
そう言うと、反対側へ行きカギを挿し込み回してみた。
しかし、カギはまったく開かなかった。
健太「どうなってんだ?」
りさ「ろうじにしらいとあからいんじゃらいろ?」
俺は、「じゃあ…」と言いかけたが、ちょっと考えた。
「また…、どちらかが犠牲になる…。
もうそんなのは、たくさんだ!」
そんな思いが脳をかけめぐった。
りさ「れも、もろれないんらっらら、やるひからいよ。」
健太「………クソッ!」
りさ「わらひがはるれをひいらっれ、うらまらいから。」
健太「りさ……。」
りさは、優しいことばをかけているようだが、だけど逆にそれはりさを死なせてしまうかもしれないことになる。
健太「本当にやるんだな。いいんだな。」
俺もここにいてもラチがあかないことは、よくわかっていたから、腹を決めることにした。
健太「りさから選んでいいよ。その方がまだ生き残れる確率は高いから。」
りさはコクリと頷き、階段から見て左の扉を選ぶとカギを挿し込んだ。
俺は、りさの反対側へ行き扉にカギを挿し込んだ。
健太「りさ…、本当にやるんだな。いいんだな。」
りさはコクリと頷いた。
健太「分かった。じゃあ、いちにのさんで開けるぞ。」
りさのほうを見ると、りさは頷いた。
俺は一呼吸息をついてから、掛け声を発した。
健太「いくぞ!いち、にぃの、さん!」
二人は同時に扉を開けた。
※この物語は、フィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。