俺達は下の階に拓哉を残し、2階に上がった。りさは気づいたら気を失っていた。
りさを静かに降ろし、明信と周りを見渡した。
健太「また、なにもない部屋か。」
明信「例によって、また壁に何か書いてあるぜ。」
俺達は壁にかいてあるものを確かめに行った。
[カギを手にしたものだけ、次に進むべし。]
と書いてあった。
健太「っざけやがって!」
明信「ということは、気を失っているりさは探せないよな。
だけど、1人だけしかカギは手に入らないのか?」
健太「分からない。とにかく探すしかないよな。
ってもよ、どうやって探したらいいんだ!?」
そういいながら、俺は適当に壁を叩いたりしてみた。
すると、やけに力無く壁に穴が開いた。
ちょうど手が入るほどの空洞が出来たが、中には何もなかった。
健太「おい、こうやって手探りで探していかなければいけないみたいだな。」
明信「じゃあ、りさには悪いが探して…
り、りさ…。」
気がつくと、いつの間にかりさは既に辺りを探し始めていた。
健太「クソッ!俺達も出遅れないように探すぞ!」
壁は30㎝の正方形のタイルが、床はブロックになっており、外れるようになっていた。
俺達は必死に探していた。
が、何かがおかしいことに気づいた。
健太「なあ、ただタイルやブロック外してるだけじゃ見つからねぇんじゃねえか。」
りさ「ひゃあ、ろうすんろろ。」
りさは拓哉に殴られ顔が腫れてうまくしゃべれないみたいだ。
健太「なあ、開けたところもう一回調べたほうがいいかもな。
実は奥があったりして。」
そういって俺は、壁のタイルをはがして表れた空洞をそれなりの強さで叩いてみた。
「パラパラッ。」
奥の壁が少し崩れたような感じがした。
健太「上か。」
今度は空洞の上をどついた。
「ドン!」
上からブロックのようなものが落ちてきた。
俺は、それを落ちてくる前に察知し素早く手を引っ込めていたため、怪我をせずにすんだ。
健太「どうやって開けるんだ!?」
俺は、とりあえずブロックのような"それ"を一回りさせてみたけど、鍵穴もなければ、どこからどう開けていいか分からなかった。
とりあえず、思いっきり地面に向かって叩きつけてみた。
しかし、ブロックのような"それ"はどこも欠けず、ただ転がっただけだった。
健太「クソッ、ハズレもあるのか?」
でも俺は"それ"が気になり、もう少しいじってみることにした。
他の二人に目を向けてみると、壁や床をとにかく探っていた。
健太「どこかがズレて、"こいつ"が開かねえのか。」
ブロックのような"それ"に執着している自分にも苛ついていたが、何も変化のない"それ"にも苛ついていた。
しばらく適当にいじくっていると、ふとどこかが少しずれたような感覚があった。
健太「ん!?」
更にいじっていると、途端にブロックのような"それ"がバラバラになり中からカギが出てきた。
健太「やったー!!」
そう言うと同時に二人がこちらを見た。
しかし、次の瞬間俺以外の二人に銃らしきものが上から下りてきて向けられた。
二人は訳が分からず手を挙げた。
りさ「ひょっと、ろうらってんろろ。」
明信「俺ら二人は殺されるのか!?」
健太「向こうの壁が上がっていくぞ。
階段だ…。」
しかし、二人を残していくなんてことは…。
俺は、二人に近づいた。そして、二人の手を引き階段のほうへ歩いていった。
が、銃は二人の動きに合わせて照準を合わせていた。
明信「なあ、健太、お前だけしか行けねえんじゃねえのか。
俺は、お前と一緒に行って"あれ"に撃たれて死にたくねえし。」
明信は親指で銃を指した。
健太「す、すまねえ。」
明信「気にするな。多分行ったら撃たれるだろうからよ。行かなかったら、生きてられるだろうからよ。」
りさ「仕方らいられえ。」
健太「二人とも、ごめん!」
そう言うと、俺は階段を上がり上の階に向かった。
※この物語は、フィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。