妄想劇場 ~ペペの予言書⑥ 新たなる出会いと変化~ | 気まぐれバードのキマグレコ

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村の鐘が、激しくなった。

邪悪なものが襲ってきた。

どこからか、この村に2人がいるのを察知したのだろう。
しかも、数匹でやって来ました。


村長「かぎつけられてしまったか。」


ペペは、サーラに逃げるように言い、村はずれまで出ていきました。


ペペ「ここに予言書がある。お前たちの狙いは、これだろ。」


邪悪なもの「何を言う。今は、お前の予言書よりあの小娘だよ。村をしらみつぶしに捜すだけだ。」


ペペ「そうはさせない。



風の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」


呪文を唱えると、ペペは宙に浮かび、村全体を包むように風が覆った。


邪悪なもの「ちっ、こしゃくな。



水を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」


そう呪文を唱えると、指先から凄まじい勢いで、次々と水を刃物のような感じで出していった。


しかし、ペペの方の力が強く、邪悪なものが唱えた呪文を跳ね返しました。


邪悪なもの「くそ、みんなでぶつけるぞ。」


5体一斉に呪文を唱えた。

今度は、邪悪なものの方が、勝りました。


ペペ「ま、まずいな。どうしよう。サ、サーラァー!」


しかし、村の人たちは、ペペが呪文で村を守っている間に、避難していました。

教会には、地下の抜け道があり、神父さんがみんなを誘導し、避難していました。


しかし、ペペはそんなことは知りませんでした。


気付けば、夜が明けてきました。


ペペは、覚悟を決めました。


「火を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」


そして、ペペは火の力で弓を作り出し、次々に放っていきました。


「ぎゃあ~~~。」


邪悪なもののうち、2体に命中し、倒すことが出来ました。
しかし、まだ3体残っています。


邪悪なもの「土の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」


そう唱えると、ペペの周りに巨大な土柱が出来、そしてペペに襲いかかりました。


ペペ「うわああぁ~~~。」


ペペは、とっさにうつ伏せになり、身を小さくしました。
予言書で口を覆い、呪文を唱えました。


「水の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ。」

ぺぺの体から、大量に水が出てきました。


どんどん、ぺぺの周りから土がなくなっていきます。

いえ、水で押し流したというほうが、正しいでしょうか。
ぺぺの姿が、現れました。

「ハァハァハァ……。」


呪文を唱え、かなり精神的な力が弱くなりました。


ぺぺ「さっきので、かなり体力を使ったか。」


邪悪なもの「ハハハ、もう限界か。それでも、予言書の持ち主か。」


ぺぺ「く、くそぅ~。」


そんなときでした。邪悪なものたちの後ろから、無数の矢が飛んできました。


邪悪なもの「ぐ、ぐうぅ~。」


あっと言う間に、3体は倒れました。


ペペは、矢が飛んできた方向に目をやりました。


?「何だよ。頼りないなあ。」


ぺぺ「君は誰?」


?「俺か?俺はお前と同じ、予言書を持つもの。名前は、アロク。」


アロク「しかし、君。」


ぺぺ「ぺぺです。」


アロク「ぺぺか。ぺぺな、もっと精神力鍛えないとな。」


ぺぺ「はい、すみません。」


アロク「アッハハハ。そんなに、かしこまらんでも。これから、一緒に旅をするんやし。」


ぺぺ「え?



一緒にしてもらえるんですか?」


アロク「そうじゃないと、君一人だったら、邪悪なものを束ねてるやつ、倒せないだろ。」


ぺぺ「それも、そうですね。



あの、歳はいくつですか?」


アロク「え?いきなりどうした?


まあ、18だけど。」


ぺぺ「じゃあ、先輩ですね。僕は、16です。」


アロク「2こしか変わらないのに、そんなにかしこまらんでもいいよ。」


ぺぺ「いえ、そういう性格なんで。」


アロク「アッハハハ。なかなか気に入ったよ、ぺぺ。よろしくな。」


ぺぺ「はい。よろしくお願いします。


あ、それはそうと、村のみんなが心配です。」


アロク「村には、誰もいなかったぜ。もう、逃げたんじゃないのか。」


ぺぺとアロクは、北にしばらく歩いていくと、手を降っているのが見えました。

サーラ「ぺぺ、ぺぺ。無事だったのね。その人は?」

ぺぺ「実は、危ないところを助けてもらったんだ。予言書を持つもので、アロクっていうんだ。」


アロク「よろしく!」


サーラ「サーラと申します。よろしくお願いします。」


ぺぺ「ところで皆さん、どうしてこんなところにいるんですか?」


神父「あの教会には、地下道があって、そこからみんな避難したんです。」


ぺぺ「そうだったんですか。


でも、もうこれ以上、迷惑をかけるわけには……。」

と、言ってる途中でサーラが遮り、
「お願いです、村長。今日が、満月の夜なんです。明け方には、出発するのでもう少し居させてください。」
と、頼み込みました。


村長「いいですよ。もう、乗り掛かった舟だ。居なさい。」


サーラ「ありがとうございます。」


アロク「何か、俺だけ置いてけぼりなんだけど。」


ぺぺ「村に戻りながら話すよ。」


村への帰り道、ペペはアロクにこれまでの経緯(いきさつ)と目的を話した。


アロク「なるほどね。で、その“一人前”ってのが、今日なわけだ。」


ぺぺ「それは、僕にも分からないよ。サーラ以外、誰にも分からないんだ。」


そして、その夜。


ぺぺ「サーラ、緊張してる?」


サーラ「緊張というより、不安の方が大きいわ。



月が真上にきたときが、その時なの。アロクは?」


ぺぺ「イビキかいて寝てるよ。」


サーラ「そう。



ぺぺ、一緒に来て。」


サーラはそういうと、ぺぺを外へ連れだしました。そして、村外れの大きな木の下まで行きました。


サーラ「実は、“一人前”になる手伝いをしていただける人っていうのは、ぺぺらしいのよ。」


ぺぺ「え?」


サーラ「お婆様の占いにはね、こう出たの。



最初に、予言書を持つものがお前の力になるだろうって。」


サーラ「そろそろよ。



私の両手を握って。」


ぺぺ「え?」


サーラ「あまり時間がないわ。早く。」


ぺぺ「分かった。」


ペペはサーラの両手をとりました。
そして、サーラは、


「目を閉じて、私の唇に口づけて。」
と、言いました。


ぺぺ「え?えぇ?そんなきゅうに……。」


サーラ「お願い、早くして。時間がないの。」


ペペは、覚悟を決め、サーラの唇に自分の唇を重ねました。


すると、サーラに月のひかりが降り注ぎました。


サーラの髪が伸び、耳は少しとんがり、背中には真っ白な羽根が生えてきました。


ぺぺ「あ、あああ、ああぁ。」


言葉になりませんでした。

サーラ「ありがとう。これで、“一人前”の天使に成れたわ。」


ぺぺ「き、き、き、君は……



ゴクッ!(生唾を飲み込みました)」


サーラ「びっくりさせて、ごめんなさい。私のお婆様も天使なの。


私は、そう…


天使だったの。」


ぺぺ「全く、分からなかった……。」


サーラ「でも、耳当てとマントが必要だわ。


天使だとバレたら、邪悪なものにすぐに殺されるわ。」


ぺぺ「分かった。とりあえず、マントは何とかなるとして、耳はしばらく何かで隠そう。」


サーラ「ありがとう、ぺぺ。



本当にありがとう。」


ぺぺ「とりあえず、村に戻ろう。」


ふと、予言書を開くと、次の予言が表れた。


「次なる、新しい出会いがあるだろう。それらと共に、これからさらに厳しい戦いが待ち受けるだろう。」






※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。