ペペたちは、ひたすら灯りに向かって進んだ。少しずつ、家々が見えてきた。
たどり着いたのは、小さな村でした。村の真ん中にある大きな建物に近づくと、そこは教会でした。
「すみません。誰かいませんか?」
扉の向こうから、70くらいだろうか、神父さんが出てきた。
神父「こんばんは。どうかなされましたか。」
ペペ「すみません。今、僕たちは旅をしているのですが、今日は泊まるところがありません。礼拝堂の隅っこでもいいので、泊めてもらえませんか。」
神父「もちろん、構いませんよ。でも、礼拝堂の隅っこだなんて遠慮なさらずに。立ち話もなんですから、お入りなさい。」
そういって、神父はペペたちを教会に招き入れました。
長椅子が左右10列並んだ礼拝堂の脇に、扉がありそこから奥へと、神父はペペたちを案内しました。
入ったところには廊下があり、左右には4つずつ扉がありました。
神父は一番手前の扉を開き、ペペたちに食事をすすめました。
神父はすぐに、お皿にスープとサラダをそれぞれ入れて、ペペたちに与えました。バスケットには、それぞれパンとフルーツが盛り付けてありました。
ペペたちは神父に習い祈りをし、食事にありつきました。
そして、おふろもいただき、ベッドにつきました。
ペペとサーラは、別々の部屋で眠りにつきました。
朝方、ペペは自分の部屋を誰かがノックしているのに気付き、起きました。
サーラ「ペペ、ペペ。起きてる?」
ペペ「サーラか。ふあぁ~。なんだい?」
サーラ「ちょっと、話があって。」
ペペ「うん、待って。いま開けるから。」
サーラ「ありがと。あのね、ちょっと言いにくいことなんだけど。」
ペペ「ん?どうしたの?」
サーラ「うん……。今から話すのは、ペペ以外にも迷惑がかかるんだけど。」
ペペ「え?」
サーラ「あのね、あと5日程で満月になると思うの。でね、満月までこの村にとどまれないかなって。」
ペペ「え?でも…。」
サーラ「分かってるよ、だから前置きしたのよ。神父さんにも、迷惑がかかるのは分かってる。でも、違うところだとどうなるか分からないの。でも、かといってここにいることを、邪悪なものたちに知られたら、この村が危ないことも分かってる。でも、そうしてたら……
そうしてたら
そうしてたら私、“一人前”になれない。もう、どこかで“果たさない”と、今度何時になるか分からないし。神父さんが、駄目って言うなら仕方ないけど…。」
ペペ「ちょ、ちょっと待って。曖昧な部分があって、話がよく分からないんだけど。」
サーラ「ごめんなさい、“一人前”のことは、何かは明かせないの。明かしてしまうと、ずっと半人前でしかいられないって、そう言われているの。分かって。」
ペペ「うん、分かった。それはそうと、5日っていうのはどうなるか…。危険だけど、とどまれるよう神父さんに相談してみようか。」
サーラ「うん。」
さて、サーラは無事に“一人前”になれるのでしょうか?果たして、神父の反応はいかに。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。