気持ちを新たに、旅を始めた2人。しかし、手掛りがないので、とりあえずどこかの方向に進むしかありません。
ペペは、「とらあえず、北に向かってみよう。」
サーラにそう言い、歩を進めました。
ペペは、予言書のことも気になり、荷物から取り出しました。中には、
「ある時期が来たとき、ある少女の願いを叶えることになるだろう。」
と、記してありました。
ペペは、
「“ある少女”とは、サーラのことか。
………
え?僕が、願いを叶えるのか?」
こころの中で、そう呟きました。
どのくらい時間が経ったのだろうか。歩けど歩けど、邪悪なものが襲ってくるわけでもなければ、何もありません。
すると、目の前に眩しいくらいに青い海が、広がっていました。
ペペ「海だ。近くに何かないだろうか。」
サーラ「探してみましょ。」
しかし、2人して見渡してみても、人っこ一人としていません。返す波の音以外、何も聞こえません。それが、凄く不気味でした。
ペペ「まずい、もうすぐしたら日が暮れる。」
サーラ「どうしよう、何かないのかしら。」
ペペ「もう少し、海岸沿いを歩いてみよう。」
しかし、歩けど何もありません。
ペペ「おかしい。サーラ、何かおかしいような気がしないか。」
サーラ「人っこ一人もいないこと?海があるのに、何もないこと?」
ペペ「何かはよく分からないが、何かがおかしいんだ。」
ペペはそういうと、いきなり呪文を唱え始めた。
「火の力を司るものよ。我に力を与えたまえ!」
「サーラ、下がってて。」
ペペはそういうと、両手を天にかざし、巨大な火の柱をつくりだした。
続けて
「風の力を司るものよ。我に力を与えたまえ!」
そう呪文を唱えると、炎がペペの前で辺り一面に広がった。
「ぎゃあーーーー。」
「おのれ、よく見破ったな。
ぐああぁーーー。」
何と、幻術師がペペたちの目の前に、海の幻覚をつくりだしていました。
ペペ「それにしても、限りなく本物に近い幻覚だったな。かなりの技術のものだったに違いない。」
幻覚が消えると、遠くの方に灯りが見えていた。辺りは、すっかり暗くなっていた。2人は、灯りに向かって歩を進ませた。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。