僕は、ペペ。今日で15の歳を迎え、王でもある父から、予言書を与えてもらった。予言書は、選ばれた人しか与えてもらえないと聞いているが、まさかそれが僕だなんて、夢にも思わなかった。
予言書には、裏表紙に自分の名前と母印を押すようになっている。ただし、自分の血で母印を押さなければならない。
名前を書き、母印を押すと早速予言が表れた。
「16の歳になるとき、これからを左右する、とても大切な旅に出ることになるだろう。」
予言書に、こう浮かび上がった。
「王、これはどういうことですか?」
僕は、王に尋ねた。
「分からん。だが、何かとてつもないことが、お前を待ってるのかもしれん。そのときにならんと、何とも言えん。」
王は、そうペペに言葉を返した。
それから、1年後。
王「皆のもの、ご存知のとおり、とてつもない邪悪な力が、少し前から各地で暴れておる。どこから出てきたのか、まだハッキリと分かってはいない。しかし、野放しにしていると、いずれはこの世は邪悪なものが支配してしまう。一刻も早く、“これ”を食い止めなければいけない。」
すると、
「王。もしかしたら、予言書に書いてあったことは、このことではないでしょうか。今こそ、僕が立ち向かわなければならないときでは、ないでしょうか。」
と、ペペが口を開いた。
「うむ。そうかもしれんな。しかし、それでよいのかどうか…。」
王が悩んでいるときだった。ひとつの影が、みんなの前に現れた。
「クヒヒ、ここにも予言書があるぞ。燃やさせてもらうぞ。」
見ると、背中には立派な大きな羽があり、頭には角が3本。爪は鋭くて長く、不気味で濁った紫色をしていた。牙は少し長く、舌は角に届くかというくらい、長かった。
「出たな!邪悪なものめ。」
兵士が3人がかりで、一斉にとびかかった。
邪悪なものはヒラリと身をかわし、ブツブツと何かを言い始めた。
「雷(いかずち)の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ!」
邪悪なものが、そう呪文を唱えると、とびかかっていった兵士3人が、あっという間に黒焦げになった。
しかし、別のところからも呪文が聞こえてきた。
「火の力を司るものよ。我にその力を与えたまえ!」
それは、ペペだった。そして、邪悪なものの方に掌を向けると、物凄い勢いで炎が放たれ、瞬く間に邪悪なものは炎に包まれた。
「ぎゃあーーー、き、き、きさまぁーーー!」
そういいながら、邪悪なものはあっという間に、消えてしまった。
それを見て、王は決断をした。
「ペペよ。お前に邪悪なものから、世界を救う事を命ずる。頼んだぞ!」
一瞬戸惑いましたが、予言書の言葉を思い出すと、
「はい、必ずや救ってみせます。」
そう力強く答えた。
国のため、家族のため、世界のため、いろんな事を思い、決意をした。
そして、その日の夜、ペペは王の部屋に呼ばれた。
王「ペペ。私は、本当はお前を旅には出させたくないんだ。私は、王以前にお前の父親だ。子供にこんな酷な運命を背負わせるのが、非常に辛かった。」
ペペ「父上。不安がないと言えば、嘘になります。しかし、誰かが立ち上がらないと、犠牲は広がるばかりです。大丈夫です、必ずや生きて帰ってきます。」
王「おおっ、ペペ。」
そういって、王はペペを強く抱いた。
そして、王はペペに自分のペンダントを渡した。
それは、母の写真が入ったロケットだった。
ペペ「父上…。」
王「ペペよ、予言書を持ってるのは、お前だけじゃないはずだ。その者たちを探し、そして力を合わせてたたかうのじゃ。
…頼んだぞ。」
そして偶然にも、予言書が反応して開いた。
ペペ「あっ、新しい予言だ!」
「旅に出ると、一人の少女に出会うだろう。少女の小さき落し物を探すことになるだろう。」
ペペ「なんだろう?どういうことだろう?」
そして次の日、ペペは旅に出た。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。