翌週から、早速俺は、道場に通い始めた。俺は、“彼”を意識していたが、向こうはいつも通りに、練習をこなしているみたいだった。
しかも、凄く打ち込んでいる“彼”を見ていたら、どうしても不良とイコールにはならなかった。
それから、3ヶ月経ったある日。俺は、仕事が忙しく疲れていることもあり、通うのが少し億劫になってきた。
そんな少し重い足取りで道場に向かい、練習を始めていたら…。
「おい!練習やる気ないんだったら、帰れ!」
と、罵声が聞こえてきた。
目をやると、“彼”だった。
俺は、一瞬
「何だと!コノヤロー!」と、こころの中で思っていた。
が、目に表れていたらしく、そこで揉めかけた。
しかし、練習後に“彼”に声をかけられた。
「あんたさ、何で空手やろうと思ったんだ。今日みたいな、半端な気持ちでやってたら、怪我するぞ。そんなんじゃ、迷惑なんだよ!」
俺は、“彼”が本気で、空手が好きなことに気付いた。
俺「1つ聞いていいか。何で、不良やってんだよ。」
彼「薮から棒に何だよ。関係ないだろ。言っとくけどな、喧嘩に空手は使ってないからな。」
彼は、暫く間を置いたあと、話し始めた。
「一度しか、話さないからな。」
彼は、そう話しを切り出した。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。