妄想劇場 ~ベンチ⑧-2~ | 気まぐれバードのキマグレコ

気まぐれバードのキマグレコ

何でも綴りたいことを綴っています。

彼の“欲”は、次第に強くなり、遂にはこんなことまで言い出した。


彼「今日、仕事休んで、君とずっといたい。」


彼女「馬鹿じゃないの?ずっといたい気持ちは分かるけど…。」


彼「けど、何だよ。それが俺が君を思う気持ちなんだ。」


彼女は、何も言えませんでした。


しかし、それ以降、彼は頻繁にメールや電話を沢山するようになりました。


返事が出来ないのが分かってるはずなのに、必要以上に何度も…。


そんなある日の午後、彼女はついにこう言いました。

彼女「私は、あなたの便利屋じゃないんだから。」
そういって、彼女は彼の前から去っていきました。


彼は、「俺は何をやっているんだろう?」
そう思い、彼女を追いかけました。


彼の手には、何か握られてました。


暫く走ると、彼女を見付けました。


彼は、声をかけました。


「ま、待ってくれ。俺が間違っていた。話だけでも聞いてくれ。お願いだ。」


彼女は、何度か無視をしましたが、あまりにもしつこいので突っぱねようとも思いましたが、とりあえず聞くことにしました。


彼「俺さ、君を好きになりすぎて、自分のことばかり考えてた。いや、君にさっきああ言われて、ハッとしたんだ。一人よがりなことをしていたんだって。」


彼女「で、どうしたいの。」


彼「もう一度、俺にチャンスをくれないか。一ヶ月、チャンスを俺にくれないか。」


彼女は、暫く考えたのちに

「分かったわ。でも、今度一人よがりなことしたら、そのときは別れるから。」

彼「ありがとう。本当にありがとう…。」


彼の頬を大粒の涙が伝った。


彼女は、ふと彼が何かを握っているのに気付いた。


「ねえ、手に持っているのなに?」
と、彼に問いかけた。


彼「ああ、今日で出会って丁度半年だから。これを渡そうと思っていたんだ。」

彼は、彼女に“それ”が入っている箱を渡した。


彼女が箱を開けると


「あっ。」


彼女が前に欲しいと言っていた、ハート型のネックレスが入っていた。


「あ、ありがとう………ごめんね。」


彼女の頬にもまた、大粒の涙が伝った。






※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。