彼の“欲”は、次第に強くなり、遂にはこんなことまで言い出した。
彼「今日、仕事休んで、君とずっといたい。」
彼女「馬鹿じゃないの?ずっといたい気持ちは分かるけど…。」
彼「けど、何だよ。それが俺が君を思う気持ちなんだ。」
彼女は、何も言えませんでした。
しかし、それ以降、彼は頻繁にメールや電話を沢山するようになりました。
返事が出来ないのが分かってるはずなのに、必要以上に何度も…。
そんなある日の午後、彼女はついにこう言いました。
彼女「私は、あなたの便利屋じゃないんだから。」
そういって、彼女は彼の前から去っていきました。
彼は、「俺は何をやっているんだろう?」
そう思い、彼女を追いかけました。
彼の手には、何か握られてました。
暫く走ると、彼女を見付けました。
彼は、声をかけました。
「ま、待ってくれ。俺が間違っていた。話だけでも聞いてくれ。お願いだ。」
彼女は、何度か無視をしましたが、あまりにもしつこいので突っぱねようとも思いましたが、とりあえず聞くことにしました。
彼「俺さ、君を好きになりすぎて、自分のことばかり考えてた。いや、君にさっきああ言われて、ハッとしたんだ。一人よがりなことをしていたんだって。」
彼女「で、どうしたいの。」
彼「もう一度、俺にチャンスをくれないか。一ヶ月、チャンスを俺にくれないか。」
彼女は、暫く考えたのちに
「分かったわ。でも、今度一人よがりなことしたら、そのときは別れるから。」
彼「ありがとう。本当にありがとう…。」
彼の頬を大粒の涙が伝った。
彼女は、ふと彼が何かを握っているのに気付いた。
「ねえ、手に持っているのなに?」
と、彼に問いかけた。
彼「ああ、今日で出会って丁度半年だから。これを渡そうと思っていたんだ。」
彼は、彼女に“それ”が入っている箱を渡した。
彼女が箱を開けると
「あっ。」
彼女が前に欲しいと言っていた、ハート型のネックレスが入っていた。
「あ、ありがとう………ごめんね。」
彼女の頬にもまた、大粒の涙が伝った。
※この物語はフィクションです。登場人物は架空であり、出来事は実際とは関係ありません。