一昨年、青山劇場で貫地谷しほりとマイコが原作よろしく劇中劇バトルを繰り広げた「ガラスの仮面」の舞台公演が再びあると言うので、見逃せないと思い、末席ながらチケットを取る。原作の面白さだけでなく、まさに女優本人たちの役者魂が試される作品は大いに見る価値大。
 久々に男子の少ない世界に来た(笑)。プログラムとクリアファイルを購入。そうか、幕間の食事を考えておかないと、30分休憩があるから手持ちぶさたになってしまうのか。まあこういう劇場のしきたり(?)にならって、弁当を買う(扇形の容器も品格があって良い)。3階席(いわゆる天井桟敷)へ。歌舞伎用に設計された舞台なので花道があるが、3階からだと見えないなあ(あまり気にする必要はありませんでしたが)。さすが新橋演舞場、客席に係員が来て直接注意事項の説明。
 やはり期待通り、いや軽く期待を超えている。あらすじはすでに分かっている物語、それを面白くしているのはまぎれもなく役者たちの風格漂う演技。これはテレビでは絶対味わえない、北島マヤ役の貫地谷さんも、姫川亜弓役のマイコさんも、舞台の上では近づきがたいオーラを放つ(もちろん、2人を引っ張る月影千草役の一路真輝さんもオーラがハンパない)。芝居たるもの、登場人物の人生をギュッと詰め込むが、それを表現できる女優たちの圧倒的な存在感は、末席で見ていてもものすごい力で伝わってくる。素晴らしい、他に言葉が見つからない。出演者も素晴らしいが、舞台装置も回転して物語の時間の流れをうまく作っている。
 これは女子コミックのスポ根ストーリーなのか?YESでもあるが、NOでもある。と言うか、大河ドラマだな、当然原作は長い物語であって、2時間ちょっとで終わるものではない。あらすじはほぼ頭に入っているのに、舞台化されてさらに面白味が分かる。
 そして、コミックが原作でありながら、物語の性質上、リアルに女優が演じてこそ面白くなると言う稀有な作品だと思う。一般的にコミックの舞台化や映画化は成功例が少ない、と言われるが、むしろ実際の女優が演じて新たな血が通う作品だと思う。つまり、美内すずえの描いた物語でありながら、ここでは貫地谷しほりとマイコ、2人の女優の生身のドラマの側面もある。
 舞台では一度芸能界から追放された北島マヤが自力で復活し、姫川亜弓と同じ劇中劇で演技対決する。劇中劇がこの2人の女優を堪能する最高の舞台を用意する。そして、マヤは幻の舞台「紅天女」の最終候補にたどり着く。つまり、今回は実際にマヤが「紅天女」の主役を勝ち取るまで至っていない。と言うことは、この舞台はまだまだ続編が作られるであろうと言うこと。僕は最後まで見届けられるだろうか。
 終演後も至福の余韻に浸りながら、有楽町駅まで歩いて帰る。