自己啓発の名の下、「自分を変える」ことがブームになっている。年輪を重ねる成長ならば良いが、過去を否定して別の人間になることを奨励しているのか、とすら思えることがよくある。コスプレが嫌いなのは、まさに自分を捨てて別の人間になろうとする自己否定が嫌だから。断捨離もそう。部屋の中の荷物はその人が暮らす中で読んだり聴いたりしてきたもの、つまりその人の年輪であり、そういうものを安易に捨てる風潮には否定的だ。
 結局、その延長線上に過去の戦争や原発事故を忘れ、「なかったことにする」風潮につながっているのではないか。過去を否定するのではない、そして美化するのでもない。ありのままの過去がアイデンティティとなることが重要。