STREETBALLERの宿命 | DJ MIKO blog

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BASKETBALL & STREETBALL

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STREETBALLERの表皮を一枚一枚剥いでいって最後に残るもの。
つまり彼ら彼女らの本質の本質、それは"負けず嫌い"だと思っています。勝つことへの執着と執念、同時に、負けることへの異常なまでの嫌悪を持っています。
 
そしてそれを、時と場所を選ばず常時発動させます。優勝や生き残りがかかったビッグゲームならともかく、ストリートでのちょっとしたピックアップゲームや、練習後の隙間時間の1on1だろうと、
とにかく連中は絶対に負けたくないのです。勝ち負けがあるゲームであれば、全てのものが等価、同じ基準で臨みます。

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その執拗なまでの勝ちへのこだわりと負けへの怖れ。それはプライドや意地や承認欲求などの人間的な感覚ではなく、もっと原始的な、生存本能に近いものを感じますね。STREETBALLERという生物種なのです。
 
そんな生態ですから、彼らが本能的に嫌うのは彼らの対極、勝ちにこだわらない選手・態度となります。一昔前、まだSTREETBALLがチャラチャラしていると世間に思われていた時代。上流階級の有名選手と何かの機会でボールを交えた時、所謂"本気じゃない感"を醸し出されると、それは皆さん憤慨していたものです。

ただそれも、現在のシーンへと繋がる大事な原動力になっていましたね。"このままなめられててたまっか"と。

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STREETBALLERが常に腰にぶら下げている鋭利な"負けたくない"。

その矛先は目の前の相手だけでなく、もしかするとそれ以上に、自分自身に対して向けられています。相手を負かした喜びより、自分のプレーをできずにただ勝ったことに絶望している姿をよく見ます。それでしょっちゅう泣いたりもしてますね。

自分の信念を曲げて勝利するより、自分の信念を貫いて負けたほうがまだまし、自分にも相手にも勝って、それで初めて"ちゃんと勝ったこととする"。その謎設定を勝手に作って、STREETBALLERはゲームクリアに日夜挑んでいます。
 
前日の支度不足、寝坊、集合時間の遅刻、控室の汗まみれの忘れ物、アイシングにより濡れた床の放置、その辺の常識人としての"負け"が対象外なのは、実に都合が良い設定ですね。

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"なんでそんなに負けたくないのか?"
リラックスした場面で何度か聞いたことがあります。
 
もともと言葉足らずな彼らはこうとしか答えません。
 
"いや、負けたくないから。"
 
上位に行きたいとか、チーム内でどうこうなりたいとか、有名になりたいとか、金を稼ぎたいとか、そんな複雑な理由はどうやら考えていないようです。

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10年近く前、BOBBITO GARCIAが来日して、早朝代々木ピックアップをやった時、日本人REAL STREETBALLERの一人であるSHUが、"NEXT"を待ちながら靴紐を結びつつ、ポツリとこう呟いていたのを鮮明に憶えています。
 
"勝ち続けなきゃな。意味ないからな。"
 
STREETBALLERとして生まれた宿命は、繰り返すカルマのように続くのでしょうか。

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