毎週木曜はアナリーゼの時間。誰の影響だか弦楽四重奏がとても好きなので弦楽器の人達に混ざって授業をとっている。テーマはシューベルトの後期の作品(主に弦楽四重奏、五重奏、ピアノソナタ)。
先週は僕と他2名でピアノソナタD.960の4楽章を分析した。構造もとても面白いし、ハーモニーも複雑で難解な方程式を筋道だてて解いていくようだった。
彼ら(弦楽器奏者)の視点はおもしろく頭の中をのぞいてみたいほどだ。僕にはああいう和音感、音楽観はまだないな。
以前、別の授業でバッハのインヴェンション14番を分析した時に、なぜバッハは(ある特定の部分を指して)このように作曲したと思うと聞かれた。正直そんなの知るかって感じだったが、先生曰く、当時の音楽家の為に学校で学ぶべきことが書かれた『Oratio Romana』というラテン語の本があり、その本の中で文章とは次の6つの章からなるべきだと述べられているそうだ。
1、Exordium(タイトル)
2、Narratio(説明(タイトルの?))
3、Propositio(別の視点からの意見)
4、Confirmatio(議論)
5、Confutatio(目で確認できる事、またこうしてはいけないという事)
6、Peroratio、Conclusio(結論)
バッハのインヴェンションや平均律のプレリュードなんかはこの構成でほぼ説明がつく。例の14番に関して言えば、最初のテーマがExodium、その後2小節はNarratio、転調したところはPropositioとう具合だ。先ほどの問いだが、なぜ14小節から16小節の途中までの3度が10回連続して登場して来るのか(多すぎ、普通ではやらない)、これはあえてこう作曲することでバッハが息子達にこの様に作曲してはいけないという事を伝えたかったというのが先生の意見だ。
正直感嘆した。こういった事は本当にヨーロッパでしか学べないなとつくづく思う。こちらの学理の先生の知識量は半端ない。歩く図書館。
是非とも留学を考えている人は一刻も早くヨーロッパで勉強することをお勧めしたい。何より学費、生活費すべてが(物価の高いスイスであっても)日本より安くすむ。
