13

ルリ……。


久しぶりに見たルリの姿に、俺の心は震えていた。


30度をゆうに超える熱気に、空気が歪められていた。

そんな蜃気楼のような街の中に、ルリが姿を現したのだ。


どうして俺は……ルリのことを……?

でも、そんなことを考えても仕方がない。


理由なんてない。

あるとしたら、俺の心が動いてしまったからだ。


俺を見つけたルリが、嬉しそうに手を振る。

そんなルリの笑顔に、俺も自然と笑顔になっていた。


小走りに駆け寄ったルリが、俺にぎゅっと抱きつく。

ルリの汗ばんだブラウスが、俺には心地良かった。


「アキト……逢いたかったよ……」


ルリは、俺をアキトと呼んだ。

でも、もうそんなことはどうでも良い。


「ルリ……逢いたかった……」


俺はルリの細い腰に手を回しながら、ゆっくりと目を閉じた。