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「……俺のポケットに時計を入れたのは君だね……? でも、どうして?」



夏子は少し困ったような顔をして、その後じっと亮二の目を見て言った。



「あたしは、あなたにもう一度逢いたかった。だから……」


「でもさ、こんなに高価な時計をだよ? 大切なものなんだろ? もしかしたら、そのまま返さないかもしれないじゃないか……」



亮二は、ゆっくりとポケットから時計を取り出しながら、そう言った。


その時計を、夏子の前に置く。


夏子の顔を、亮二はじっと見つめる。


久しぶりに逢った夏子は、やはりとても美しかった。



「そう……大切だから、あなたに託した……あたしは信じてたから」



テーブルの上に置かれた時計をじっと見つめて、夏子はそう言った。



「信じてる、か……どうして、そんなに信じられるんだ? 偶然出逢った、俺なんかのことを……」



そのとき夏子は、亮二の目を見ながら少し怒ったようにこう言った。



「偶然じゃない! 偶然なんかじゃないの! あたしは、あなたをずっと捜してたんだから!」



夏子は、しまった!という顔をして亮二から視線を外した。



「それって、どういう意味なんだ……俺のことをずっと捜していたって……?」



亮二は、夏子の言葉に少しだけ動揺していた。



それは。


そのとき亮二が、目の前にいる夏子が似ていると気づいたからだった。



確かに、似ている……。


あの人に、確かに……。



まさか……。


いや、そんなバカな……。