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亮二は、頭の中に浮かんだそんな考えを必死で否定する。



そんなことはない。


いや、でも……。



夏子がゆっくりと口を開く。



「亮二さん……だよね? 佐久間……亮二さん……」


「どうして、俺の名前を? 君は……まさか……?」



夏子は、そのとき半泣きの顔で亮二をじっと見つめていた。



しばらくの沈黙のあと、夏子が口を開く。



「あの時計は……ママの形見なの……山岸春子の……」


「えっ?」



夏子の言葉に、亮二は激しく動揺していた。



春子が、死んだ?


どうして……。



夏子は、ひと粒の涙をこぼしながら言葉を続ける。



「ママは去年亡くなりました。病気で……」


「…………」



亮二は、夏子のそんな言葉を激しい心の痛みとともに受け止めていた。



亮二が唯一愛した女……。


それが、山岸春子だった。



そして、春子の娘である夏子が。


突然、亮二の目の前に姿を現したのだ。