15

ルリの部屋は、川崎駅から歩いて15分ほどのところにあった。


繁華街から外れた、ちょっと年季の入った9階建てのマンション。

その6階に、ルリの部屋はあった。


「久しぶりでしょ? 入って……」


にっこりと笑ったルリが、俺を手招きする。

その笑顔に、俺の心は激しく揺り動かされる。


そして、その時……。

一瞬、ぐにゃりと空間がねじれたような気がした。

ほんの一瞬だが、左右の壁が渦を巻いて、左右が入れ替わるような……。

そんな、めまいのような感覚が俺を包んだ。


あれ……?

俺は、目を瞬かせて頭を左右に振る。

目を大きく見開く。

目に映る景色は、さっきと何の変化もなかった。


さっきのは、きっと気のせいだろう……。

緊張しているのかな、俺……。


俺は、苦笑いしながらルリの顔を見た。


えっ……どうして……!?


そこには、ルリではない別の女が立っていた。