16

「お前は……セリナ……!?」


俺は目の前に信じられない者を見ていた。

なぜセリナが……どうして、ここに……?


「ん? どうしたの、アキト? 早く入ってよぅ!」


セリナの笑顔に、俺は複雑な感情を感じていた。


それは、懐かしいような……心が痛くなるような……。

そして、恐怖にも似た不思議な感情……。


「もぅ、アキトったら!」


セリナが、強引に俺の右手を引き寄せる。

俺は、急いで黒いウォーキングシューズを脱いでバタバタと部屋に上がる。


そして、そのまま引き寄せられた俺のカラダは……セリナの細いカラダに重なった。


「逢いたかった……アキト……」


セリナが上目遣いで、俺の目を熱く見つめていた。

俺は、その視線に心の奥から溢れ出す感情を抑えられなくなる。


「……セリナ、ずっと逢いたかった……」

「あたしもだよ、アキト……」


セリナは、ゆっくりと瞳を閉じた。

それに反応するように半開きになった唇に、俺は自分の唇を重ねていた。