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「お前は……セリナ……!?」
俺は目の前に信じられない者を見ていた。
なぜセリナが……どうして、ここに……?
「ん? どうしたの、アキト? 早く入ってよぅ!」
セリナの笑顔に、俺は複雑な感情を感じていた。
それは、懐かしいような……心が痛くなるような……。
そして、恐怖にも似た不思議な感情……。
「もぅ、アキトったら!」
セリナが、強引に俺の右手を引き寄せる。
俺は、急いで黒いウォーキングシューズを脱いでバタバタと部屋に上がる。
そして、そのまま引き寄せられた俺のカラダは……セリナの細いカラダに重なった。
「逢いたかった……アキト……」
セリナが上目遣いで、俺の目を熱く見つめていた。
俺は、その視線に心の奥から溢れ出す感情を抑えられなくなる。
「……セリナ、ずっと逢いたかった……」
「あたしもだよ、アキト……」
セリナは、ゆっくりと瞳を閉じた。
それに反応するように半開きになった唇に、俺は自分の唇を重ねていた。