「……あの、もしかして……アキトさんじゃないですか? アキトさんですよね?」


アキト……。


俺は、その名前に残念ながら覚えはない。

つまりは、人違いということか……。


俺は少し残念な気持ちを感じながら、それでも微笑んでルリちゃんに言った。


「……残念ながら、違います。アキトさんって……俺に似てるの?」


少しの沈黙の後、俯いていたルリちゃんがゆっくりと顔を上げた。

そして、ポロポロと涙をこぼしながら俺の目をじっと見据えてこう言った。


「嘘! 何でそんな嘘をつくの? どうして?」


俺は焦りながらも、なるべく冷静にそうルリちゃんに告げた。


「えっ? いや、本当に知らないんだ。ごめん。人違いだよ……」

「嘘! どうして、そんな事言うの……酷いよアキトさん……」


いったい、この子はどうしたんだろう?

そんなにアキトってヤツが俺に似ているのか?


っていうか、本当に俺のことをそのアキトだと思ってるようだし……。

大丈夫なんだろうか、この子……?


俺は、少しの恐怖心を感じながら、それでもルリちゃんをじっと見つめ返していた。