朝、珍しくお母さんは低姿勢だった。
「お願い」と手を合わせて私を拝ん
でる。
「はいはい」今日はパートの後、忘年会に誘われてるって。
「でもなるべく早く帰るから」
「オッケー」
耳を澄ますと鼻歌を歌っている。・・・忘年会
ねぇ。
「学校が終わったら迎えに行くから待ってるんだよ」弟は大きく頷いた。
★12/17
「え~もう帰っちゃうの?」
「うん、ごめん」サヤカの口がくちばしに
なった。
朝見かけるスズメみたいに文句を言っている。
「もうすぐライブなのにさー」
「弟迎えにいかないとならないの」
ギターをケースにしまう。
「そっかー
仕方ないね」やっと泣き止んだ。
「ばいばい」
私は手を振りながら教室を出た。
★12/19
「 KOI 1,2 」
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いつの間に冷え症になったのだろう。
教室には暖房が入るようになったの
に。
手が冷たくて机の下で両手を重ねていた。
教壇で先生は額の汗をハンカチで拭いている。
「おはよう」
そっと横に現れた彼の眼鏡が曇ってる。
「おはよう」
私が机の下から手を出すと彼は私の手に触った。
「あげるよ」カイロだった。
12/21 「使い捨て?」
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勇気を振り絞って靴を履いた。
冷たい空気が頬を何度も刺す。
進むにつれ体の中の全部の血が凍っていく気がした。
「明日は来いよ、必ず」
メリークリスマス
と書かれた包みの中に入っていたマフラーと先生からの手紙。
体育館では終業式が始まっていた。
一歩入ると真っ黒いカラスの群れが一斉にぼくを見た。
12/24 「黒と鳥と」