それが赤いのに気付いたのは少女ひとりのようだった。
鳥も怖がって地面
で震えているのに。
「なんで震えてるの?」男の子が少女を見て母親に聞いた。
母親は少女に冷たい視線を投げ子供の手をつかんだ。
「見て」
少女は立ち上がり
指差した。
「空が赤いの」
でも誰もそれを見なかった。
雨が降るまでは。
1/29 Un ciel rouge
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土と草と花と。
本当の匂いはぜんぶ奪われていた。
ただアスファルトの匂いだけが地面を覆っている。
私はそこに横になった。
やっと見つけたシロの体の横に。
「シロ」
呼んでみると耳が少し動いた気がした。
アスファルトの乾いた匂いに錆びた匂いが混じっていた。
シロの血は染み込んで土まで降りて行く。
1/31 臥せる
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お姉ちゃんのアドバイスはいつもテキカクだった。
「二人きりになれる
チャンスなんて滅多にないんだから逃がしちゃだめ」
大丈夫。しっかり網の中に捕まえたんだから。
「カッコいい男には彼女いないはずないんだから」
うん。わ
かってる。でも。
「好きな人って誰?私の知ってる人?」
だから言えなかった。
2/5 告白
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「ついて来なさい」
母はそう言って私にコートとマフラーと手袋を渡し
た。
ぜんぶ赤色の。
赤ずきんちゃんみたいって鏡を見て少しウキウキした。
「早く!」
玄関から怒った声がする。
外に出ると母は無言で冷たい風の音だけが騒い
でいた。
「どこへ行くの?」
返事はない。
そして森に入ると雪が降り出した。
2/6 あかずきん