「空にはたくさんのクモが網を張っていて俺たちの空中艇を待ち伏せしてた。
クモ・・・思い出したくもない。奴らは一人ずつ俺たちを食うんだ。
今頃はお前の父さんも・・・。」
そう言っておじさんは右目の割れた眼鏡の頭を触った。
「すまない。俺一人だけ逃げるのにやっとだったんだ」
9/10 「空中の蜘蛛」
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「よかったよ、無事で」
「・・・うん」
氷をストローで回しながら亜紀は答えた。
やっと連絡がついてファミレスで会えた亜紀は元気がなかった。
「家、大丈夫だったの?」
「・・・うん。隣の家の火事だけで済んだ」
それなのに亜紀にいつもの元気がない。
「どうしたの?」
「・・・バックが消えてたんだ」
9/15 「黒9」
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時計を忘れてきたことに気付いた。
啖呵を切って別れたのに。
でもあの時計は惜しい。
仕方なく彼の、いや元彼のアパートに戻った。
ピンポーン。
しばらく待っても彼は出てこない。
鍵はない。
さっき床に叩き付けたから。
でも。
「あれ?」
鍵が空いてる。
「ねぇ、いるの?」
だが、
彼の影は無言で揺れていた。
9/17 「ぶらんこの影」