140novel(2013/6/21-27「古い魔女」 | 蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

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列車がきた。
「ほら」
影は僕を引っ張って列車に乗せた。
中にはたくさん乗っている。
「どうぞ」
大きな猫が立ち上って僕に言った。
「え?」
その三毛猫は150センチはある。
「ありがとう」
座って中を見回すと人間は僕だけみたいだ。
「これ、よかったら」
猫が吸盤のある手を開くとヤモリの死骸があった。


ブー。ブー。
バックの中の携帯のバイブが鳴った。
目を開くと電車には僕しかいない。
いつの間にか寝てしまったんだ。
慌てて降りてリュックから携帯を出した。
父さんからのメール「病院にいるから来い」
婆ちゃんの病院はこの駅だ。

あれは夢?

ホームの階段を降りているとあの少女そっくりな子が下にいた。

階段を走り降りると改札を出る少女の後姿が見えた。
病院まではバスで10分ほどかかる。
でも僕はバス停には行かずに少女を追った。
賑やかな駅の周りを過ぎると街灯は減り闇が増えていく。
その中を少女の着た白いワンピースが夜行虫みたいに光っている。
僕が追い掛けてもちっとも距離は縮まらなかった。
「待って!」
僕は声を出した。
すると少女は足を止めた。

「なに?」


彼女は数少ない街灯に照らされて待っていた。
笑顔で。やっと追い付いた僕は少し息を切らしていた。
「君は、あの」
僕はなんて言ったらいいのかわからない。

「もうすぐだよ」
少女が指をさした長い坂の上に病院が白く浮かんでいた。
 
坂はすごく急だった。
バス通りはもっとゆっくり上がる道だから知らなかった。
「待ってよ」
僕が言うと、少女は時々振り返って
「遅~い」と言いながら僕の先をどんどん歩いていく。

やっと僕が病院の入口に着くと少女の姿はすでになかった。
彼女はなんで病院に来たのかさえ僕は聞いていなかった。


6/21-27+書き下ろし