おれの腕の中には0歳の赤ちゃんがいる
頭の上にほほを当てると本当に暖かい
さっきゴミを出しに外に行ったときは凍えるような寒さだった
ケータイで外気温をみてみると「0℃」に表示
窓の外では寒々しく木々が揺れている
おれは思う
「長生きしたいな」
人は誰かの体温で温まるとき
生きている意味を見出す
孤独じゃないことを再確認し
愛を感じる
それは人としてものすごく大切な何かなのだ
考えてみれば
親の愛情を受けて抱きしめられた記憶はせいぜい10歳くらいまでだ
もう中学になると親離れして恋愛をする
温もりを他の人間、家族以外の人間に求めるようになる
そう、恋人を探し始める
そして恋人ができて、結婚して子供ができる
今度は子供に温もりを求める
人間は温もりから温もりへ
次の温もりを探して生きている
メールアドレスを交換したあの娘から受信
「今日は楽しかった」
今までそこにいた温もりを感じつつ返信をする
隣にいる友達が茶化してくる
俺はまんざらでもない気持ちになってくる
二人きりで遊ぶことはない
いつも皆で酒をのみ
みんなでカラオケに行く
同じ寮の仲間
リゾートホテルに勤める俺たちは
外の世界から切り離された世界で生きている
だからこそ、仲間意識が強い
そして依存する
人間関係で仕事を辞める人
人間関係で首をくくる人
表向きは元気でも人間関係で病んでる人が大多数を占める
それは、自然の光が照らし出す幻想的な空間
「リゾート」でニコニコと働きながら紡ぎだす影のようなもの
下界から疲れを癒しに来た人をもてなす人々は
キラキラした空間で残飯を食って生きている
そんな過酷な状況だからこそ
分かち合える人間が愛おしい
誰かが誰かに頼って生きている