「貸せ!」

 

その一言で、ケータイを取り上げられた。

 

心の中で思った。

どうか出てくれ!

そして来てくれ!

俺一人ではこの人たちが怖すぎる・・・

 

願いが通じた

どうやらオカは電話に出て、今からタケとヨッチャンと一緒に来るようだ。

助かった・・・

いや、助かってない。

そして、少しの罪悪感に苛まれた。

俺が捕まったばかりにすまん!

 

サングラスは電話が終わると、俺のケータイをポケットにしまった。

何も言えなかった。

一息つき、この人たちの車を見てみた。

白いセダン

ノンスモークのガラス(当時の車は標準がクリアガラスだった)

車体はぼろくて小さかった。

 

こんな車に乗ってる893がいるんだ・・・

益々怖くなってきた。

 

少し経ってオカ達が来た。来てくれた。

単車が2台SRとSTEEDの爆音が白セダンの前で止まった

4人揃ったところでサングラスが話しだした。

デカいパンチの方は無言だったが、車の中に戻って行き、なにやらがさごそと探し物をしてるようだった。

 

「竹内知ってるな?」

 

印刷屋

10代

50ccの五月蠅いバイク

など、竹内という奴の情報を端的に聞いていて思い当たった。

多分みんな思い当たった。

 

竹内は3個下の後輩で、少年時代は一緒に野球チームに入っていて、可愛らしい子だった

が、途中でとんでもない不良少年になっていった。

最近では地元のパチンコ屋で会う程度で、俺はそんなに話したこともなかった。

 

多分この893達は竹内の仲間だと思って俺を捕まえたらしい。

あの近辺で50ccのバイクに乗っているガキという情報を持っていて、オカんちの近辺で張っていたのだ。

竹内の家はオカんちから少し離れているが、相当いい線をいっている。

だが、決定的に違うのは「俺たちは竹内の仲間」ではないことだ。

 

俺は安心した。

やっぱり冤罪だった。

 

みんなそう思ったのか、オカが代表して話した。

 

「俺たち20歳っす。そのタケウチとかいうガキは知りません」

 

そう!20歳

20歳にもなってこんな50ccに乗っている俺が悪かったのだ。

じゃそういう事で、ケータイ返してください。

はい。

さよなら

 

・・・・・とはならないのが不良である。

そこからが長かった。

 

つづく