1980年代前半

 

バブル景気が始まる前

 

うちの親父は、おじいちゃんに様々な説得を試みるも全て突き返され、強引に独立

お客様がいるが、製造は出来ない。

 

仕入れ先には「お達し」が来ていた。

 

これは、裏切者へのおじいちゃんからの制裁

 

業界では名が通っているおじいちゃん

その影響力は大きく、大きな問屋はウチを相手にしてくれなかった。

 

もし、おじいちゃんのいう事を無視して、独立したウチを相手にすれば、製作物が回ってこない。

 

すなわち、職人を舐めると大変なことになるって言う事。

 

いくら販売の人間がスーツを着て、威張り散らしていても、それを作る職人の機嫌を損ねると仕事にならない。

この構図をまざまざと見せられたのがうちの親父だ。

 

 

親父は大そう苦労したという話を未だにするが、よく考えると自業自得だと思う。

 

 

独立というと聞こえはいいが、要は会社を割って出るという話で、その会社からお客の持ち出しがあればどこの世界でも制裁を喰らうのは当たり前だろう。

 

 

話は逸れるが、どこの世界でも起きている事。

人間が人間である以上この手の揉め事は減ることは無い。

 

円満退社

はごく少数派で稀

 

時期、場所、色々と気を使わなければ成立しない。

 

今日の友が明日の敵になるわけだから。

 

 

 

そんなおじいちゃんもただ単に怒りで絶縁状態を保てるほど愚かではなかった。

 

大きな心で許したのだ。

 

その時の記憶は俺にはある。

 

俺の両親は未だ怒っていたが、おじいちゃんが折れる形だった。

今考えると、ここが子供と大人の差なんだなと思った。

俺の両親は所詮子供だ。

 

 

おじいちゃんの工場は、おじいちゃんが会長職になり代替わりした。

大口の顧客をウチに持っていかれても、職人の数もそのままで、会社を立て直した。

 

この辺が凄いところであり、無茶苦茶な事をやっているように見えても、周りから尊敬される所以だ。

 

本物の経営者とはこうあるべきだと俺は思う