初夏のある日

 

アルバイトのゴルファーズロッジが険悪なムードになっていた。

前回話した、熊木と入り浸り男との諍いだ。

 

大体初夏になると段々とアルバイトが増えていき、今までの平和が崩れる。

 

のほほんと恋愛していた奴らは色めき立ち、新しい人間に目移りするし、モテなくて勘違いしていた奴は目を覚ますことになる。

 

だから、人が増えれば先ず「色恋」で揉め事が発生して、そこから金銭の問題、いじめ問題、等々が必ず発生する。

僕のいたRESORTとはそういう人間が働いている場所だった。

 

勿論

社員になって、寮を出て家庭が出来れば少しは落ち着くので、トラブルは極端に減るが。

 

 

僕とスエさんで様子を見るという事で集まった。

スエさんは何か持っている。

 

「スエさんそれなに?」

 

「え?一応、木刀持ってきた」

 

面白い人だっと思った。

 

 

問題の部屋に行ってみると、やっぱりその男は出てこない。

何回も書いているが、僕はこういう女の部屋に入り浸る奴が嫌いなので、関係なく部屋に入っていった。

ボロい寮なので鍵なんて簡単に開いた。

 

そいつは木刀に驚いていたが、先ず部屋の外に引っ張り出し、説教した。

 

驚くほど素直だったが。

 

散々脅して後は恋愛の事だから熊木との話し合いに任せた。

女の子も納得していたようだった。

 

 

この後はどうなったか解らなかったが、意外とみんなで仲良くなり飲み会や花火を楽しんだ。

若さってそんなもんだ。

 

 

 

 

少し季節は遡って、4月にあったことを書き忘れていた。

 

休日に町に降りて買い物をして、車で峠を登っていると、一台の原付が下りて来た。

ん?????

 

峠に原付は滅多にいない。

しかもまだ少し雪が残っているのでなおさらだ。

 

速度を落としてよく見ると、原付の割には大荷物を抱えている。

那須君???

 

疑問を残し通り過ぎたが、後からすぐに確認したら、やはり那須君だった。

 

彼はどうやら戦力外通告を受け、実家の埼玉に帰るという事だった。

 

車の免許を諦め、原付の免許を一日で取り、50ccのスクーターを買っていたのだ。

知らなかった・・・

そのスクーターで持てるだけの荷物を抱え、群馬の山から埼玉へ帰っていく・・・・

まさに侍の所業を目の当たりにした。

 

どうやら、「副社長」になる夢は叶わなかったようだ。

 

無事元気でいることを祈る。