ノックして開いた扉

 

扉の向こうにはお偉いサン方がずらり。

10人以上いて、勿論東京本社の僕の直属の上司あの、大原さんもいた。

 

そこへキャバクラのように、ビール瓶を持った女性スタッフが数人。

 

僕はずかずかと入っていき、コズに一言

 

「帰ろうよ」

 

「・・・・」

 

無言だった。

 

それはそうだ、こんな場面で何も言えるはずがない。

お偉いサン方も

「ポカーン」

だ。

大原さんは

「おう、石田元気か?どうした?」

 

とか言っていたが、シカトした。

 

結果、追い出される羽目になり、自分の不甲斐なさに怒りが込み上げてきた夜を今でも覚えている。

部屋に帰って、眠れない夜を過ごし、朝方散歩にでも行こうかと部屋を出てみると、上の階の扉が開き

あの男転がしの背の小さな坂本が出て来た。

 

そういえば、アネックスの部屋を不倫部屋としてGⅯ権限で自由に使っているのだった。

 

 

ついに発見した。

 

外までH.GMが送り、坂本が帰っていく。

 

僕は隠れもせず見守ってやった。

 

H.GMは家庭もあって、遊園地とは離れたところに家を構えているのだが、こうやって不倫する時にはホテルの部屋を自由に使っているというのは本当だった。

 

 

組織で偉くなるとこういう風にやりたい放題なのか。

そうか

 

いつか僕も仕事を頑張って、こういう風にやりたい放題の人間になろう。

 

半分はそう思ったが、胸糞悪い野郎だなとも思った。

これが当時の正直な感想だった。

 

 

その後

コズからは

 

「もう連絡は取らない」

 

とのメールが来て、そりゃそうだなとも思った。周り友達も協力してくれたが、コズは怒っているようだった。

悔しかったが、仕方がない。

 

男友達は励ましてくれた。

タカ、かっっちゃん、まさ

みんないい奴だった。

 

 

そうして、僕のしょうもない恋愛は終わったかに見えたが、やっぱり淋しい女は怖い。

 

3月にも入ったある日

上司の辻岡さんと那須君としばらくぶりに軽井沢スタッフで、麻雀をやっていると、メールが来た。

コズからだったが、返信が出来ない。

この時、辻岡さん他、軽井沢スタッフには色々と粗相がバレていて、もう少しで帰るのだから大人しくしているように言われていた。

 

しかし、本当に愛してしまっている男も怖い。

 

心の中は有頂天であった。

 

やっぱり、今考えても突撃してよかった。

17歳のタカが言っていたことは間違っていなかった。

 

後悔の無い選択は難しいけど、実は勇気一つ