2月の寒いある日

 

久しぶりにアルバイト寮で飲み会をしていた。

だが、他のカップルの揉め事が発生

不穏な空気を察した僕らは、飲む場所を移すことにした。

 

あまり気が進まなかったが、社員寮へ行ってみたいとあの春ちゃんが言うので、4人を引き連れ僕らの部屋へ行った。

思った通り、3人とも部屋にいた。

仕事に疲れ、のんびりテレビを見ている様子。

 

そこへ、ハイテンションの僕ら

 

「飲みまっしょい!」

 

 

女子も3人いたのが助かった。

同じ部屋の那須君と柴咲君はレストラン勤務なので、同じレストランのアルバイトの女子もいたので、乗ってくれた。

 

「しょーがないねーー」

といいながら、柴咲君はつまみを備え付けの小さなキッチンで作ってくれた。

那須君はボーっとしていたが、二段ベットの下に降りてきて、ぬるっと飲み会に参加した。

 

問題の男

29歳最年長

二段ベットの一番下を陣取り、自前のテレビを持ち込み、カーテンを敷き、僕らとは関わらないスタイルの東条さん

おまけにタバコの煙が大嫌い。

アルバイトとは関わることなく、過ごしている人物だ。

 

案の定僕らが来ると、嫌な顔を見せ、さっさとカーテンを閉めた。

 

その時

6畳一間の部屋に、男4人女3人が皆タバコを吸っていた。

窓を少し開けていたが、まるで東条さんをあぶりだすかのような雰囲気に、僕は笑ってしまった。

 

今考えると、ひどい話だ。

東条さんが激キレするかなと思ったので、女子に東条さんを誘うようにお願いした。

 

「とーじょーさぁーん。のみまっしょー」

 

すると

少しだけニヤケタ顔してすんなり飲みに参加した。

うそ。

と思ったが、女好きの本性は隠せなかったようだ。

 

ここで、東条さんの「アルバイトと飲まないスタイル」は何故なのかを問い詰めた。

すると、意外なことが分かった。

僕の予想では、彼女が埼玉にいてその彼女に遠慮してのことかなと思っていたが、実は

僕が入社する少し前の3月に軽井沢に来た東条さんは、4月に、GWのバイトに来た女子たちと車で飲みに行って、帰りに真っ暗な慣れないカーブを曲がり切れずに事故していた。

 

 

本来なら、飲酒もあるし、アルバイトの女子を危険にさらした罪で解雇であったが

どうやら、色々と手をまわしもみ消したとのこと。

その女子アルバイトはそのあと那須君と付き合っており、東条さんからは治療費を長い間貰っていた。

だから那須君と東条さんの間には冷たい空気が流れていたし、東条さんはアルバイトと関わらないのだと言った。

 

そんなこと那須君の前で言って大丈夫?

とか思ったが、この時すでに那須君は少しおかしくなっていたので、何も言わなかった。

 

「そうか。そんなことがあったんですね」

 

と言いながら、若い僕は真っ向から東条さんに反論した。

 

「でも、アルバイトとか社員とか分けて考えるってどうなんですか?」

 

僕は仕事も一緒にする仲間なら、プライベートも人間としてかかわるのが当たり前だと思っていて、そういう考え方が嫌いだった。

でも、会社は東条さんと同じ意見

でも、僕にも味方がいて、それが上司の辻岡さんだった。

僕の考えを認めてくれていた。

 

折角、過去を話してくれた東条さん

いやいやながら飲み会に参加してくれた東条さん

タバコもこの日は許してくれた東条さん

 

そんな東条さんに僕は喧嘩を売っていた。

 

この火が大きくなり、翌日僕はコルチナ国際スキー場全体を仕切っている支配人に呼び出された。