万座鹿沢駅に迎えが来る時間になった。

しかし、おかしい。

 

 

どう見ても、駅には僕一人しかいない。

僕は車の免許を合宿で取っているのだが、その時は田舎のさびれた駅に何人も「それらしき」人がいたもんだ。そういうことを想像していたので、「あれ?」と思った。

しばらく、ベンチに座って待った。

さびれた田舎の駅に、「cisco」の袋とデカい鞄にダブルのスーツを着た22歳の若者が一人。

シュールだ。

 

待てども待てども、それらしき車は来ない。

「忘れられてるわ」

と思い、行先の案内を取り出し、電話をかけてみた。

すると、

 

 

「あー、そういえば! もう少しまっててください。すぐ行きます」

 

 

とのこと。

僕は結構大きな会社に就職したつもりだったので、不安が一気にやってきた。

そして、30分後。

遠くのほうから、一台のボロボロのキャラバン。

ボディーには「ホテルグリーンプラザ」との文字が。

 

 

「マジか」

 

 

その車が僕の近くに停車した。

中からは、緑のポロシャツを着たイカツイ感じの浅黒い大男が出てきた。

「石田君だね。ハイのって」

と言ってくれたので、ビクビクしながら車に乗った。

この大男が僕の上司であり、20年たった今でも連絡を取る大切な先輩である

「辻岡」さんだ。