「ハイ・・カットー・・・」
小声で男が告げる
今まで小声でかつ盛大に喘いでいた女性はさっとパンティーをあげ、素早く洋服を身に着けた。
女性の名前は「下衆ゆかり」
文字通り、その容姿も含め主に汚れ型の女優だ。
いわゆる、場所フェチというカテゴリーの中の「汚れ」である。
簡単に言うと、公衆便所や肥溜め、浮浪者の住む段ボールハウスなどで過激なことをするというジャンルである。
ゆかりはそのジャンルではトップを走っている。
監督の男が小型のカメラを持って嵌め撮りする形が主な撮影方法で、いわば「村西スタイル」である。
このジャンルは、汚いものを合わせることによって、新たな価値観を生み出し、そのマニア性によって、確立されたコアなジャンルである。
近年のウィルスパニックにより清潔が重視される中の反動とも呼ぶべきか、人間はあまのじゃくな生き物である。
まさに抑圧の中の開放でついつい汚い物の最たるものを性の方面にも求めてしまうのである。
まさに新時代の帝王とも呼ぶべきか
「下衆ゆかり」
彼女は言った。
「これからは私の時代よ」
「ハイ。」
小型のカメラを携えた監督は純真な目をむけてそう答えた。
「では先に車に戻ってます」
そう告げると、監督は車へ戻っていった。
ゆかりはそこでゆっくりと鏡に向かって髪型を整え、メイクをし始めた。
鏡の自分に向かって言った
「ブスね・・・・」
ふとあることに気が付いた。
誰かの吐息が聞こえる。
それはどこか懐かしい、まさに性の吐息。
トイレの外から芽吹く音がする。
一流の女優は鼻が効く
外に出るとその主と目が合った。