日本が世界に誇れる、数少ないアーティストのストイックなヒップホップ道に刮目せよ。そして今こそ覚醒せよ。
DJ KRUSH「覚醒」

アーティスト: DJ KRUSH
タイトル: 覚醒
全編を支配する独特の緊張感。それがDJクラッシュのヒップホップ。日本人らしさがにじみ出ている音楽性と言えます。水墨画のような繊細さ。日本庭園のような静寂さ。禅の世界のような広大さ。自然を有るがままに受け入れるマインド。我々が失って久しい侘び寂びの感覚を、DJクラッシュは想い出させてくれる。彼のその才能は、世界の一流のアーティストに愛された。
有名な話しなのだが、彼が未だ今ほど有名でなかった時、原宿の歩行者天国でレコードプレイヤーを二つ並べて、お手製のミキサーでつないで、ハンドメイドのターンテーブルでヒップホップをやっていた時の話しです。そこに通りかかったある画家がいた。彼はその彼の音楽に触れ、その挑戦する美しさに胸を打たれたのだろう。DJクラッシュの音楽に合わせて所構わず道やら、ストリートにあるもの全てに絵を描き始めた。美しい時間が止まったかのようなその瞬間は、それを共有したその場にいた人間全てに幸福感を与えただろう事は、容易に想像できる。DJクラッシュは言っていた。
「でもその後ね、全てが終わって歩行者天国が終わった後ね道路に書かれたその絵がね、車が通るたびにかすれて消えていっちゃうんだよね。なんだか華か無くて寂しくてね。」
しかし、その儚さをその画家は知って、あえてそこに絵を描いたのだろう。音楽もそうなのです。発せられたら後は消えていくだけなのです。でもその儚さと切なさを知ってなお芸術に魂を吹き込むのがやはりアーティストと呼ばれる人間なのではないでしょうか?
ちなみに、その粋な画家とは、かのポップアートの伝説の男、キース・ヘリングでした。
キース・へリングといえば、あの踊る人間のイラストで有名な画家ですが、その音楽への愛情はかなり有名で、Decoyの部屋にもキース・ヘリング描いたモントルー・ジャズ・フェスティバルのポスターの絵画のシルクスクリーンが一枚有ります。その絵画にも音楽が人間に与える勇気や希望が封じ込まれています。
とにかく。。。DJクラッシュはやはり他のDJたちとはやはり比べるべくもない領域におり、その音楽性の高さもやはり一線を画している。少し前の事だがクラブ・イベントでDJクラッシュがブースに入りプレーし始めた時だった。それまで大騒ぎして踊っていた聴衆は静まりかえり、彼の一挙手一投足を見守った。決してしらけたのではない。むしろ多くのDJクラッシュの音楽のファンは彼をリスペクトしているのだ。DJクラッシュのプレーに対して水を打ったような静寂と緊張感で聴衆で対峙した。多くのブラザーとシスターは知っていた。彼のプレー、そう彼の演奏は一音も聴き漏らしてはいけないと。
少し前に、テレビでライブペインティングを若野桂とDJクラッシュがやっていた。素晴らしかった。若野桂さんもやはりアメリカでナイキの依頼でNBAの選手のイラストを描き、その画風でもって彼らに認められた本物だった。しかし、彼らの事を滅多にメディアは取り上げない。なかなかどうして我々は日本を代表する芸術家の事を知ることは無い。だから、覚醒が必要なのです。
簡単に、DJクラッシュについて説明します。1962年東京生まれ。映画「ワイルド・スタイル」に影響を受け、ヒップホップの世界に身を置く。常に海外でも高い評価を受ける。あらゆるサンプルを使いそれを自分の音楽として再構築する。彼の音楽はヒップホップという枠には収まらない。あらゆる芸術家とのコラボレーションを行い、常に前進し続ける。最新作はCMJ(全米カレッジ・ラジオ)のRPMチャートで3週連続1位を獲得している。
このアルバムDJ KRUSH「覚醒」の収録曲についての解説をしておきます。このDJ KRUSH「覚醒」はDJ KRUSHの5枚目のアルバムで、日本では1998年にリリースされました。一曲目の短いインタールード「Intro」から既にかれの世界観が溢れている。二曲目「Escapee (with A.S.A.)」では不安を煽るウッドベースがうねり、シンプルでタイトなビートがその空間を刻む。時折上に展開するヴォイスやピアノ、ブラス、ギターなどのサンプルはどれも生楽器らしさを艶めかしく表現している。現世の妖艶さ、生命の妖艶さを感じる。3曲目「Parallel Distortion (with DJ SAK)」には宇宙を感じる。広く。そして無限の存在を前にして人間は自らの儚さを知る。
4曲目「Inorganizm (with DJ Kensei & DJ Hide)」にはどこまでも続く輪廻を感じさせる。人間の儚さを憂いつつも、その魂の転生を信じるかのように。夢の中の出来事のような6曲目「Crimson」。そのざらついた音の質感が素晴らしい10曲目「Rust (with KK of the Lo-Vibes Crew)」。人の欲望の向かう先は何処なのだろう。。。そして12曲目「Krushed Wall (with Rhythm Troops)」ではそれでも続く命の連鎖を感じながら、もう一つ別の精神世界の広がりを感じる。ここでなら人間は深化できそうだ。。。
13曲目「The Kinetics (with Mista Sinista)」は哲学的なそれまでの色味は退化しているが、その分ヒップホップとしての美しさが全面にでている。ジャジーなブラックミュージックの鼓動が感じられるトラック。14曲目「Final Home」はヒップホップの中に異国情緒を感じさせる。ヒップホップにとっての異国情緒とは日本だったりする。どこかアジア・・・いや日本を感じさせる。日本人のエトスとか?16曲目「Outro」で締める。淡々としかし次へと続くその連鎖のビートは次のアルバム、ネクストステージを感じさせる。DJクラッシュとの第五次接近遭遇はもう終わってしまう。。。
少し前、有名な写真家の方達と仕事でお会いする機会が有った。名前はさすがに言えませんが、世界に名だたる建築の撮影と人物の撮影の日本の巨匠です。もっとこういう人の作品に、日本人は触れるべきだと思いました。今すぐに刮目し、覚醒すべきである。日本を代表する数少ない本物の芸術家をその目、耳で捉えるべきです。
DJ KRUSH「覚醒」

アーティスト: DJ KRUSH
タイトル: 覚醒
全編を支配する独特の緊張感。それがDJクラッシュのヒップホップ。日本人らしさがにじみ出ている音楽性と言えます。水墨画のような繊細さ。日本庭園のような静寂さ。禅の世界のような広大さ。自然を有るがままに受け入れるマインド。我々が失って久しい侘び寂びの感覚を、DJクラッシュは想い出させてくれる。彼のその才能は、世界の一流のアーティストに愛された。
有名な話しなのだが、彼が未だ今ほど有名でなかった時、原宿の歩行者天国でレコードプレイヤーを二つ並べて、お手製のミキサーでつないで、ハンドメイドのターンテーブルでヒップホップをやっていた時の話しです。そこに通りかかったある画家がいた。彼はその彼の音楽に触れ、その挑戦する美しさに胸を打たれたのだろう。DJクラッシュの音楽に合わせて所構わず道やら、ストリートにあるもの全てに絵を描き始めた。美しい時間が止まったかのようなその瞬間は、それを共有したその場にいた人間全てに幸福感を与えただろう事は、容易に想像できる。DJクラッシュは言っていた。
「でもその後ね、全てが終わって歩行者天国が終わった後ね道路に書かれたその絵がね、車が通るたびにかすれて消えていっちゃうんだよね。なんだか華か無くて寂しくてね。」
しかし、その儚さをその画家は知って、あえてそこに絵を描いたのだろう。音楽もそうなのです。発せられたら後は消えていくだけなのです。でもその儚さと切なさを知ってなお芸術に魂を吹き込むのがやはりアーティストと呼ばれる人間なのではないでしょうか?
ちなみに、その粋な画家とは、かのポップアートの伝説の男、キース・ヘリングでした。
キース・へリングといえば、あの踊る人間のイラストで有名な画家ですが、その音楽への愛情はかなり有名で、Decoyの部屋にもキース・ヘリング描いたモントルー・ジャズ・フェスティバルのポスターの絵画のシルクスクリーンが一枚有ります。その絵画にも音楽が人間に与える勇気や希望が封じ込まれています。
とにかく。。。DJクラッシュはやはり他のDJたちとはやはり比べるべくもない領域におり、その音楽性の高さもやはり一線を画している。少し前の事だがクラブ・イベントでDJクラッシュがブースに入りプレーし始めた時だった。それまで大騒ぎして踊っていた聴衆は静まりかえり、彼の一挙手一投足を見守った。決してしらけたのではない。むしろ多くのDJクラッシュの音楽のファンは彼をリスペクトしているのだ。DJクラッシュのプレーに対して水を打ったような静寂と緊張感で聴衆で対峙した。多くのブラザーとシスターは知っていた。彼のプレー、そう彼の演奏は一音も聴き漏らしてはいけないと。
少し前に、テレビでライブペインティングを若野桂とDJクラッシュがやっていた。素晴らしかった。若野桂さんもやはりアメリカでナイキの依頼でNBAの選手のイラストを描き、その画風でもって彼らに認められた本物だった。しかし、彼らの事を滅多にメディアは取り上げない。なかなかどうして我々は日本を代表する芸術家の事を知ることは無い。だから、覚醒が必要なのです。
簡単に、DJクラッシュについて説明します。1962年東京生まれ。映画「ワイルド・スタイル」に影響を受け、ヒップホップの世界に身を置く。常に海外でも高い評価を受ける。あらゆるサンプルを使いそれを自分の音楽として再構築する。彼の音楽はヒップホップという枠には収まらない。あらゆる芸術家とのコラボレーションを行い、常に前進し続ける。最新作はCMJ(全米カレッジ・ラジオ)のRPMチャートで3週連続1位を獲得している。
このアルバムDJ KRUSH「覚醒」の収録曲についての解説をしておきます。このDJ KRUSH「覚醒」はDJ KRUSHの5枚目のアルバムで、日本では1998年にリリースされました。一曲目の短いインタールード「Intro」から既にかれの世界観が溢れている。二曲目「Escapee (with A.S.A.)」では不安を煽るウッドベースがうねり、シンプルでタイトなビートがその空間を刻む。時折上に展開するヴォイスやピアノ、ブラス、ギターなどのサンプルはどれも生楽器らしさを艶めかしく表現している。現世の妖艶さ、生命の妖艶さを感じる。3曲目「Parallel Distortion (with DJ SAK)」には宇宙を感じる。広く。そして無限の存在を前にして人間は自らの儚さを知る。
4曲目「Inorganizm (with DJ Kensei & DJ Hide)」にはどこまでも続く輪廻を感じさせる。人間の儚さを憂いつつも、その魂の転生を信じるかのように。夢の中の出来事のような6曲目「Crimson」。そのざらついた音の質感が素晴らしい10曲目「Rust (with KK of the Lo-Vibes Crew)」。人の欲望の向かう先は何処なのだろう。。。そして12曲目「Krushed Wall (with Rhythm Troops)」ではそれでも続く命の連鎖を感じながら、もう一つ別の精神世界の広がりを感じる。ここでなら人間は深化できそうだ。。。
13曲目「The Kinetics (with Mista Sinista)」は哲学的なそれまでの色味は退化しているが、その分ヒップホップとしての美しさが全面にでている。ジャジーなブラックミュージックの鼓動が感じられるトラック。14曲目「Final Home」はヒップホップの中に異国情緒を感じさせる。ヒップホップにとっての異国情緒とは日本だったりする。どこかアジア・・・いや日本を感じさせる。日本人のエトスとか?16曲目「Outro」で締める。淡々としかし次へと続くその連鎖のビートは次のアルバム、ネクストステージを感じさせる。DJクラッシュとの第五次接近遭遇はもう終わってしまう。。。
少し前、有名な写真家の方達と仕事でお会いする機会が有った。名前はさすがに言えませんが、世界に名だたる建築の撮影と人物の撮影の日本の巨匠です。もっとこういう人の作品に、日本人は触れるべきだと思いました。今すぐに刮目し、覚醒すべきである。日本を代表する数少ない本物の芸術家をその目、耳で捉えるべきです。