HIPHOPをあくまでクリエイティブな場と捉える、Pete Rockの最高傑作!
Pete Rock「Petestrumentals」



アーティスト: Pete Rock
タイトル: Petestrumentals

この人は、HIPHOPを本当に知り尽くしていると思う。このアルバム「ピートストルメンタルズ」はそこらで一山幾らで扱われる、カラオケのようなインスト・ヒップホップではありません。ここに収録された作品は、明らかに明確な意志を持って作り込まれた、作品です。

まず最初にこの作品を聴いて感じるのは、その絶妙のムードの作り方です。とにかくムードが有るのです。上モノのジャジーさそしてベースの太さ。そしてこのクールな雰囲気を加速させるキレの良いリズムトラック。タイトなのですが、所々で見せる外しの美学は、まさに真っ黒なセンスです。とにかくタメが効いていて結局最後まで、ずっと解放してくれないのです。

単調ともいえるラップ無しのインスト・ヒップホップは、グルーヴが無ければもう何も残らないといっても差し支え有りません。ピート・ロック「ピートストルメンタルズ」は正にストイックなまでにそのグルーヴ=タメを追求して生まれたアルバムです。

実は「ピートストルメンタルズ」は、発売元であるbbeによる一企画として生まれたアルバムです。その企画は単純且つ明解でした。

「DJが自分のお気に入りのトラックを収録していく。一切レーベルはその内容に関知しません。好きな音楽でこのアルバムを満たしてください。」

これには、勇気が要ります。Decoyとしては、bbeさんには敬意を示したい。おかげでこんなに素晴らしいアルバムが出来たのだから。ピート・ロックが自分自身を表現するためにプロデュースしたこのアルバム作品は、結果として既にリリースしていたトラックを集めたもので有るはずなのにも関わらず、2001年を代表するアルバムの一枚として、歴史に燦然とその名を残しました。他人の評価を気にせず、ひたすらストイックに攻めた結果だと思います。いわゆるアフロ・アメリカンの格好良さを凝縮したような、このピート・ロックのサウンドには、まさに脱帽です。Decoy的オススメトラックは、1曲目「A little Soul」、2曲目「Play Dis Only At Night」5曲目「Hip Hopcrisy」7曲目「Pete's Jazz」、9曲目「Get Involved」辺りです。

ピート・ロックは、80年代にアンタッチャブルの一員として、世に出てから、一貫して彼は素晴らしいトラックを作り続けてきました。その結果、「Soul Brother #1」の称号を、JBことジェームス・ブラウンから引き継ぎ、90年代以降その呼び名を戴冠する事になりました。これだけで、どれ程彼がアフロアメリカンの社会で、尊敬を集めているかが解るかと思います。なぜならば、アフロ・アメリカンの社会では大統領よりもジェームス・ブラウンの方が、ステータス高いのです。それは、最高にクールな成功者に与えられる称号なのです。

DJプレミアとともに90年代初頭の、ヒップホップシーンを引っ張ってきたその音楽性は、10年以上の時間を経ても全く色褪せません。恐らく、彼の名はこの先数十年の間語り継がれてゆくのでしょう。。。ピート・ロックのインストのベストアルバムという側面もあるこの作品、是非ヒップホップと接点が無い方にも聴いていただきたいと思います。それでは。