フェラ・クティとボブ・マーレーを結ぶその線の上に存在する奇跡の音楽!
Cedric Im Brooks「Cedric Im Brooks & the Light of Saba」

アーティスト: Cedric Im Brooks
タイトル: Cedric Im Brooks & the Light of Saba

最初はやはりそのジャケの素晴らしさが目を引きました。そして試聴機で何気なく聴いた時背中に電気が走りました。これまで聴いたことのない音楽でした。レゲエのコーナーで聴いたのですが、これは何かもっと奥深いものを感じました。そして、このアルバムがDecoyをラスタファリズムへと誘ってくれました。

このアルバムは歴史的な名盤です。幻の名盤として語り継がれているそういう伝説の一枚です。しかしその稀少性により、あまりにCedric Im Brooksについて情報が無いのが残念でならないものです。まずは、その辺りの周辺事情から説明しましょう。

Cedric Im Brooks「Cedric Im Brooks & the Light of Saba」はCedric Im Brooksが、これまた伝説のナイアビンギを演奏する「Count Ossie & The Mystic Revelation of Rastafari」解散後に、創ったバンドSABAの記念すべきファースト・アルバムです。となると、まずはナイアビンギについての説明が必要になりますね。。。

ナイアビンギはラスタファリズムの儀式の名前であり、その儀式で演奏されるリズムパターンが一般化して形成した音楽ジャンルです。ナイアビンギという宗教儀式はガンジャを吸って一晩中ドラム叩きながら歌い踊るという、まさにナチュラルトランシーなものです(Decoy自身は、基本的にドラックについては一切認めません。)。という事は、ラスタファリズムの音楽=ナイアビンギという図式が出来ます。一般的に、ラスタファリズムの音楽=レゲエという図式を創造される方が、非常に多いのですが、これは実は正確では無いのです。

レゲエのルーツはご存知のように、スカにあります。ある狂ったように熱い夏、ジャマイカン達は、スカじゃあ熱すぎるもっとクールダウンさせよう。といってロック・ステディが生まれました。そしてロック・ステディでも未だ熱すぎたある日、さらにレイドバックしてテンポが落ちたクールダウンミュージックとして、レゲエは生まれました。そういう意味では、生粋のジャマイカン・ミュージックという事です。

それに対してラスタファリズムは、元々エチオピアにそのルーツを持ちます。大航海時代の前からなんと、エチオピアはキリスト教の国だったそうです。このエチオピアに起源を持つキリスト教に立脚した思想を、エチオピアニズムと言います。このエチオピアニズムは旧約聖書を聖典とします。

この思想に、アフリカ大陸からジャマイカにつれてこられた奴隷達が、拠り所を求めたのです。その結果、白人社会VS有色人種社会という構図の中で、エチオピアニズムはラスタファリズムになりました。ラスタファリズムはその原点であるエチオピアニズムからの、キリスト教的な厳格な一面(菜食主義)や対白人社会が起点という特別な一面も持っていますが、基本的には非常におおらかな、生活に密接したレイドバックしたものだと考えて良いようです。

それはビック・マウンテンの「私たちはラスタだ。ここにいる者はみなラスタだ。どんな肌の色でも、どんなことばをしゃべっても、ジャーの教えを理解する者はみなラスタだ。だからあなたたちは、日本中にラスタの教えを広める義務がある」という発言からも見受けられます。

まあとにかく、これでDecoyがフェラクティとボブ・マーレーを結ぶ線の上に存在する音楽として、Cedric Im Brooks「the Light of Saba」を紹介しいる理由が垣間見れたと思います。

さて字数の問題で、簡単にCedric Im Brooks「the Light of Saba」の内容を総括して起きます。やはりこのバンドの目玉はテナー・サックスのCedric Im BrooksとトロンボーンのNAMBO ROBINSONによる、二人とは思えない重厚なホーンセクションにあります。二人とも非常にスキルもあり、安心して聴いていられる演奏です。時に良く唄い、艶があり、時にクールです。音色も非常に良く、ふくよかなサウンドは素晴らしいものがあります。無論、リズム隊も非常にタイトで、ドラムとベースに関しては、サンプリングネタの嵐です。

このごった煮のルーツの素晴らしさは、聴いて頂くしか有りませんが、その懐の深さを再現できる、そのスキルの高さとそのハートの大きさをも同時に感じて貰いたい点です。アフリカを感じさせる楽曲、ルーツ・レゲエの原点の様な楽曲、カリプソを感じさせる楽曲、そしてアフロポップやジャズをも感じさせる楽曲が並びます。。。レゲエの好きな方、アフロミュージックの好きな方、そのどちらにも強力にオススメしたいアルバムです。