宇宙の無限の響き。時代を超えてきた音楽。
Gong Geladag「Resonance Meditation」



アーティスト: Gong Geladag
タイトル: Resonance Meditation






伝統とか神秘とか、そんな過去を振り返る言葉でこの手の音楽を表現するのは、非常に簡単だったりする。しかし、このゴング・グラダグの「レゾナンス・メディテイション」というアルバムはCDという形で非常にクリアな音で録音されている。そう間違いなく、今現在の音楽として、この世に存在しています。

敢えて、今回このゴング・グラダグの「レゾナンス・メディテイション」を紹介したのには理由があります。というのも今日会社で、この音楽を隣席の女の子に紹介したところ、さっすがマニアックと言われてしまったのです。これには、Decoyは結構びっくりしました。これだけジャンルがカオスになっている日本の音楽事情を鑑みて、さらに渋谷というウチの職場の立地条件を考えるとあまりマニアックなものとは感じられないのです。

そもそもマニアってなんなのだろうか。。。ひょっとして自分がマニアだと解らない人間がマニアなのだろうか。。。そういう風に逆説的に考えると確かにマニアな気もします。Decoyはマニアでしょうか?それともオタク?

話を音源の方に戻します。インド音楽などでもそうだが、基本的に最上の音楽は神に捧げるものという点では、原始の音楽は皆一致しています。原始の時代というのは、なんと豊かだったのでしょうか。音楽を神と人間が共有して楽しんでいたわけです。場合によっては神と踊り、神と唄ったのでしょう。神は現代でいう遠い存在ではなく、もっと身近に存在し、人間と共有していたのです。

このゴング・グラダグの「レゾナンス・メディテイション」は、勿論2000年の録音ですが神様が踊っていた頃の音楽の素晴らしさの一端を未だに引き継いでいるように思われます。

ゴング・グラダグ正式名を「Jaya Kusuma(ジャヤ・クスマ)」と言います。ゴング・グラダグは村の名前で、親しみを込めた呼び名らしい。彼らの歴史は古く、1920年代からの活動になるらしい。元々は寺院専属のバンドで、儀式で演奏していたのだが、近隣の人々が混ざって参加し、楽器を皆で買い足し気が付けば大所帯のバンドになったらしい。なんとも素晴らしい経歴じゃないですか。その後、彼らはバリ島のガムランコンクールで優勝をして、現代までガムランマエストロのバンドとして活動を続けている。

各曲の簡単な紹介をします。1曲目「創作儀礼曲 革命の鐘 Lelambatan Tabuh Teru "Gesuri"」イントロは鼻歌のコーラス?出始まる。静と動が交代にやって来る。そもそものこの曲の由来は、例のデヴィ夫人でおなじみのスカルノ大統領による、オランダからの独立戦争にあるらしい。どこか勇壮さと、そして悲しみを感じさせる演奏です。後半は燃え上がってゆきます。

2曲目の「儀礼曲 スラマ神の火刑 Lelambatan Tabuh Pat "Semarandana"」は非常に激しい曲でテンポもかなり速い。この楽曲のテーマはなんでもシヴァ神が自分の息子のスラマ神を、瞑想から起こしたという理由で火刑にしたという神話から来ているらしい。。それが何故儀礼曲なのか?世界には不思議がいっぱいあるものです。中間部ではどことなく日本的なコーラスも聞こえてきます。

3曲目は、「舞曲 蜜蜂の求愛 Oleg Tamulilingan」。ようやくなんでも天才舞踏家「イ・ニョマン・マリオ」によって1930年代に創作されたクビヤール・スタイルの舞曲のスタンダードらしい。曲調は、舞踏曲らしく起伏に富んだ作りで、様々な様子がサウンドで表現される。踊る側も次から次へと出てくる変化に合わせてストーリーを組み上げるのでしょう。

4曲目は「創作器楽曲 花の旋律 Ekar Gendot」静謐な心を感じる楽曲です。ルーツは影絵芝居の伴奏曲にあるらしい。この楽曲については、このバンドの一子相伝らしい。他の楽曲と違い細かいフレーズが、力でおされていないガン時がする。余韻を生かしている感じが気がします。小さな蝶が飛ぶように軽くそして柔らかい。

5曲目は「古典儀礼曲 慈愛 Lelambatan Tabuh Pat "Eman-eman"」まさに、慈愛を表現しているサウンドですね。2曲目と同じ音楽形式との事であるますが、そこに類似点は余り感じません。あくまで組曲のような展開が共通らしい。万華鏡のように様々な色が混ざり合っていくような、その様は圧巻です。

久しぶりに通して聴いて思い出したのは、初めてこのアルバムを新宿の「タワーレコード」の試聴機で聴いた時の事である。何か背中に冷たいものが走りました。「なんか凄い音楽がここにあるぞ!」そう感じました。その凄味は未だに全く衰えず、何度聞いてもその複雑な音色のハーモニーには驚かされます。一つ一つはそんなに魅力的とは言えませんが、こうして合奏になると完全に一つのパートとして成立しているのです。

ちなみに、豆知識ですが、このガムランって楽器は溶かしてまた作り直したりするらしい。なんともエコロジーな発想です。Decoyは決して回顧主義ではないものの、こういう一昔前の発想は、もの凄く大事なきがしますね。それでは。