日本屈指のアバンギャルド集団とケン・イシイはどう格闘したか?このアルバムは音楽による格闘技だ!
BOREDOMS & KEN ISHII「REBOREvol2 KEN ISHII DJ MIX」



アーティスト: BOREDOMS & KEN ISHII
タイトル: REBORE vol2 KEN ISHII DJ MIX





ひょっとしたらこれまで紹介した中では、一段とマニアックなアルバムかも知れません。今回紹介するのは、日本の誇るトランス・アバンギャルド音楽集団「BOREDOMS」の音源を日本のトップDJであるKEN ISHIIがCompiled & DJ MIXしたノンストップ音絵巻です。
Vol.0が山塚アイさんによる自らリミックス、Vol.1がUNKLEによる自らリミックス、Vol.3がDJ Krushによる自らリミックスです。どれも非常に面白い組み合わせになっています。が私個人的には、KEN ISHIIのこのミックスが一番好きです。

ボアダムズは非常に歴史のある、アバンギャルドミュージック演奏集団で、1986年にその活動の発端を見つけることが出来ます。1987年にプッシー・ガロア、ソニック・ユースの来日ライブで共演し高い評価を得た彼らは、海外のメディアで騒がれるようになった。日本よりも先に海外での認知が高かった所に、ボアダムズとKEN ISHIIの共通項が見いだせます。彼らにとって日本は狭すぎるのでしょう。

そのせいか日本のメディアからは、どうしてもまともに陽が当たらず、そこからもひたすら地道に、しかし着実にライブを通して彼らはその評価を高めて、現在ではフジロック・フェスティバルにまで出演するようになった。やり通す事で見事に自分たちを貫き通した彼らの勝利である。

Decoy自身、まあそれなりにアバンギャルドな演奏もしてきていたので、かなりノイズに近い音楽も聴かなくはありませんが、しかしそれでも中には音楽という表現枠をあまりに超えてしまい、どうしても理解できないものもあります。

ボアダムズの音源も幾つか聴いたのですが、当惑を隠せないものも結構ありました。デスメタルとかハードコアと呼ばれる音楽に、あまり馴染みがないからかも知れません。Decoyと同じような感想を持っている人、結構いると思います。そんな方にこそ、このアルバムを聴いてもらいたいと思います。

はっきり言って、まあクラブでのリミックスをそのままアルバムにしましたという感じの全一曲50分21秒という内容ですので、聞きやすいかどうかは正直にいって微妙です。しかしそれでも、この音の洪水の向こう側に確実に何かが存在し、そしてその何かを表現しようと「BOREDOMS」も「KEN ISHII」も音の格闘技を繰り広げているのが感じられます。

この音絵巻には、あらゆるサウンドが断片かされ、それらが微分的な融合を果たしているような感覚があります。これらの破片は様々な所で我々が聴いてきた音楽の何らかの断片に似ていたりします。それらが懐かしいような感覚に思えたりする事もあれば、これまで自分の身の回りの環境の中に起きたサムシングが、影響して生まれるであろう未来に感じられたりするから不思議です。

KEN ISHIIの凄さは、究極のギリギリ一歩手前までボアダムズを解体し、そこにギリギリの割合でKEN ISHIIを挿入してこの音楽を作り出している所です。解体しすぎれば、それはREBOREにはなりませんし、そのままではただのBOREDOMSになってしまいますし、あまりにもKEN ISHIIらしさを挿入してしまうと、それもKEN ISHIIになってしまい、RBOREではなくなってしまうのです。

キャッチーな大ネタ使いも、数カ所には見られますが、その殆どはわかりやすい大ネタではなく、もっとボアダムズのエッセンスを見据えているところが、やはりKEN ISHIIの凄さを感じざる得ないところです。

アバンギャルドな音楽には、なかなか足が向かないという貴方も、是非こういう折衷的なアバンギャルドミュージックへのガイダンスのような音源に耳を傾けてみてください。

現代の日本のような超ストレス社会には、こういうガス抜きの出来る音楽は、絶対に必要なのではないでしょうか?究極の逆癒しというやつです。頭を真っ白にして聴いてみてはと思ってしまう。ドラッグに手を出す前に、こういう音楽で脳内麻薬を活性化してみてはいかがでしょうか?それでは。