ファンキーでダンディなダンサブルボサノバ。でも仕上がるとジャズなんだなぁ
Quincy Jones「Big Band Bossa Nova」



アーティスト: Quincy Jones
タイトル: Big Band Bossa Nova






泣く子も踊るファンキー名盤です。サッカーのブラジル代表が出ていた、CMでBGMとして採用され、そのスタイリッシュな映像と共に、一気に有名になり、オースティンパワーズでお茶の間の定番曲になった感のある、超有名曲「SOUL BOSSA NOVA」を筆頭にラウンジーでラグジュアリーな楽曲が並んでいます。6曲目ではきっちり先祖帰りのサンバも聴かせてくれます。堪りません。

いつ、どんな時に聴いても名盤は皆の心を射止めてしまうモノで、Decoyが昔骨董屋の雇われ店長をしていたときにも、このアルバムを店内で流していたところ、
「これって売ってるんですか?」
と何度も聞かれました。それもおじさんから若者まで、もう誰ともなく。結局理屈に抜きにわかりやすいこのアルバムは、老若男女を問わず時代を超えて愛されるのでしょうね。。。

さて、そんな有る意味で、解説不要のこのアルバムを紹介したのも、このアルバムに参加しているメンバーについて少し触れておきたかったからです。

トランペットのクラーク・テリー。ファンキーなペット吹かせたら、トップです。オスカー・ピーターソン(P)との共演盤なんかも、個人的にはとても好きです。どちらかというと流麗なタイプと言うよりは魂一発系の方ですね。

そしてアルト・サックスのフィル・ウッズ。この人はヨーロッパでの活躍が記憶に良く残っています。白人らしい理路整然としているタイプかと思いきや、この方も結構バリバリ吹きまくる方です。個人的には、ダニエル・ユメール(Dr)とかと組んだヨーロピアン・ジャズ・マシーンでのアルバムが好きです。

次に、このアルバムの参加者の中で、一番の注目株、フルートのランサン・ローランド・カークです。あの、「SOUL BOSSA NOVA」での力任せのファンキーなフルート。それが彼の演奏です。彼は、元々木管楽器ならなんでもこなすマルチプレイヤーで、目が不自由でありながら同時に三本のサックスと、ノーズフルート(鼻で吹くフルート)を二本まで同時に演奏して一人でアンサンブルをやってのけてしまう天才です。当時、どうしても彼のその演奏スタイルは大道芸として見られてしまい、なかなか正当な評価が得られなかったのですが、さすがクインシー。わかっています。これはつまり、クインシーがやがりカークの才能を理解できるだけの、天才である事の証明なんです。

他にも、ピアノのラロ・シフリン、ギターのジム・ホールと超有名どころが参加しています。

通常、これだけのメンバーはまず揃わないです。というか揃っても使いこなせないのです。何しろただでさえ、あくが強くて自尊心の強い一流のミュージシャンを、取りまとめてビックバンドにするってのは、そりゃそもそも論として無理がある訳です。しかし、それを見事にやってのけるのが、クインシーなんですよね。

このクインシーのアレンジャー、コンダクターとしての非凡なる才能は、後にマイケル・ジャクソンとのコラボレーションでも、いかんなく発揮されます。クインシーの才能は、アフロ・アメリカンの才能を100%発揮させるという意味で、まさに非凡です。アメリカの音楽が、短期間で成熟していった背景には、天才的な演奏家の影響だけでなく、こういったアレンジャーやコンダクター、コンポーザーにも、極めて高いレベルの人間が何人も登場したという事も影響しているのでしょう。是非、アメリカという国の音楽の懐の深さを感じてください。