よくぞ録音してました!ブートレグのはずがオフィシャル大名盤。
Magic Sam「Magic Sam Live」

アーティスト: Magic Sam
タイトル: Magic Sam Live

はっきりいって、音質はオススメできるモノではありません。しかし、しかし、しかし、その内容は素晴らしいという表現を超えて、壮絶なのです。このアルバムは、ひとりの 夭折した天才ブルースマン、マジック・サムの壮絶なライブ演奏を奇跡的に録音したシロモノです。二枚組で、それぞれが、シカゴのゲットーにあったお店「The Alex CLUB」という店での1963年のライブと「Ann Arbor Blues Festival」での1969年のライブとで構成されています。

勿論どちらもすこぶる良いのですが、Decoyがオススメするのは、断然二枚目の「Ann Arbor Blues Festival」の方です。もうとにかく、ギタートリオでの演奏の常識を完全に覆した演奏が聴ける。ドライブしまくるマジック・サムの躍動が、1万人のハートを掴んで離さない。特にアンコールにかけての「Looking Good」というワンコードのブギは最強です。フェンダーのアンプ(スピーカー。エレキギターの音を出す機材)に、やはりフェンダーのストラトキャスター(多くのブルースマンが愛用する、フェンダー社の名器)を直入れ。スプリングリバーヴ(エコー)を深めに設定し、素手で弦を弾いては掻きむしります。観客のボルテージは限りなく上がってゆきます。

コレばかりは聴いてもらうしかないのだが、本当に素晴らしい内容なのだ。
「これぞブルースの醍醐味!この臨場感こそが、ブラックミュージック。」
といえる。最高によい状態の時のジミ・ヘンドリクスの演奏と並ぶといってよいと思う。音楽のスタイルは違えど、同じ時代の人。そう同じ時代に生まれた天才なのです。

このアルバムを、Decoyは初めて聴いたとき感動して涙を流した。そう、まるで命を削るかのような、壮絶な演奏なのだ。そう。本当に彼は命を削っていたのだった。

当時、ファンになったばかりだというのに、アイドルだったスティーヴィー・レイ・ヴォーンがヘリの事故で亡くなってしまい、イイ演奏家は皆、何故早く死ぬのだろうと、真剣に考えていた時だったので既に故人であると聴かされた時、ああこの人もか。。。と正直落胆した。そう彼はこの69年のライブの後に、呆気なく死んでしまうのです。

シカゴのモダンブルースを、本来であれば長年に渡って牽引すべき存在で在った彼の死は、シカゴブルースの肉体の死と呼ばれました。それほど彼の存在は大きく、そして偉大でした。。。是非、エリック・クラプトンが最高のブルースマンだと、思ってらっしゃる方等に聴いてもらいたい。このアルバムこそが本当のブルースアルバムであり、そしてこれこそが、生のブルースであるという事を。