素晴らしいコラボレーションが生んだ、快作!黒い神が踊り出す。
Ben Harper & the Blind Boys of Alabama「There Will Be a Light」



アーティスト: Ben Harper & the Blind Boys of Alabama
タイトル: There Will Be a Light






本当に素晴らしいコラボレーションです。この音楽をブルースというべきかどうか実は結構悩みました。私としてはソウルミュージック、あるいはゴスペルもしくは、いっその事ロックとか。色々な枠組みも考えたのですがやはり、この耳触り(Decoyの造語)はブルースかと思う。ざらついて乾いた、着古したジーンズとコーデュロイのシャツ、それに履き古したショーツウェスタンブーツ。くたびれているのに、粋な男達。決して諦めず、しかし神が与えてくれた分け前を存分に楽しむ。うーん良い印象で伝わるだろうか・・・?多少強引だが、そういうブルースな生き方をしているミュージシャンが、演奏した音楽はブルースだと思う。

Decoyの場合はその音楽のジャンルを見極めるときには、その演奏家の生き方を観る。どんなスタイルの音楽にも生き様がある。アーティストと呼ばれる人間は、その哲学が全てである。そういうものが無い音楽には、生まれてこの方Decoyは惚れた事が無いし、決して歴史に名前を残さない。勿論技術は重要だが、バックミュージシャンとしてやっていくのでなければ、それ以上にその個性のある生き方が重要になる。

今回紹介するベン・ハーパーという男は、まさにそういう男だ。パーカッショニストの黒人の父と、ギター&ヴォーカリストの白人の母を持ち、母方の祖母はバンジョーの演奏家、母方の祖父は弦楽器なら何でもござれの楽器制作や修理の職人。
早くに両親が離婚(お父さんが蒸発したらしい)、ベンはこの母方の祖父の楽器の溢れるお店で多くの時間を過ごす。

彼にとって、20世紀のアメリカの多様な楽器が大量に詰まっている、そのお店は宝の山だった。彼はここでギターを始めとした様々な楽器に出会い、そして1930年代のハワイアンのアコースティックラップスティール楽器、ワイゼンホーンに出会う。これは座って、膝に乗せて弦の上を左手のスライドバーで滑らせ、右手でギターのようにピッキングする楽器だ。彼は、この忘れられた楽器に再び世界の熱い視線を集めさせた。彼のスタイルは、何もかもが伝統的で且つ独特である。この両立が成り立っているのが彼の素晴らしさだと思う。

さて、今回のアルバムはそのベン・ハーパーとザ・ブラインドボーイズ・オブ・アラバマとの共演作です。彼らはとあるライブで共演し、すっかり意気投合。ザ・ブラインドボーイズ・オブ・アラバマのアルバムに、ベンがまず客演し、その後このアルバムが制作された。ザ・ブラインドボーイズ・オブ・アラバマはいわゆるゴスペルを唄う4人組。ゴスペルというと大合唱のスタイルが思い起こされるが、いわゆるこういう4~5人編成のグループも数多くいる(今後そういうグループも紹介するつもりです。)。

さて、気になるサウンドですが、もう堪らなく暖かい。やはり、こういう編成なので宗教色がかなり強く出ていますが、前向きな歌詞は素晴らしいと思う。それこそノラ・ジョーンズなんかが好きな人には、絶対にオススメだね。このベン・ハーパーはかの地では、子供と親が一緒になって見に行くアーティストだったりする。子供を安心してつれていけるという。まあこの人についてはジョン・レノンの再来といわれるくらいの、圧倒的なカリスマ性がある。以前「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」をカバーしていたが、コレが圧倒的に良い。
「これはオリジナルと並び称されるんでは?」
という出来。何故そんなに素晴らしいのかと、考えて答えは簡単に出た。

この男は、本当にジョン・レノンの思想を信じているし、ストロベリーフィールズの事も神聖な場所として、捉えている。おそらくこの人は、音楽の世界への影響について真剣に考えていると思う。ミュージシャンが成功したら、その次に何を遣るべきかを理解しているのでしょう。

いつでも夢を叶える前向きの力の素晴らしさを、ベンはいつでも教えてくれる。彼はいつでも私たちの心に訴えている。一人一人が変わる事がとても重要だと。世界を動かすのは、こういう力だと。